イギリスで音楽といえば、ビートルズやオアシスなどのロックバンドを思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし、ロックが広まる以前から、イギリスにはクラシック音楽や伝統音楽において、素晴らしい曲や楽器が数多く生み出されていました。
今回のコラムでは、イギリスの音楽の歴史についてご紹介していきます。記事の最後では、イギリスの音楽留学に関してもご紹介してますので、ぜひ最後までご覧ください。
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イギリスの音楽界には、クラシック音楽において優秀な作曲家が多くいた時期と、そうでない時期がありました。16世紀末から18世紀前半にかけての西洋音楽はバロック音楽と呼ばれ、クラシックのひとつの年代、およびジャンルとして知られています。
このときのイギリスに優れたクラシック作家がいたのはバロック音楽時代の前半、17世紀中期までといわれています。中でもとくに有名な楽曲はヘンリーパーセルが作曲した「Trumpet Tune and Air」や、イギリス国王でもあったヘンリー8世の「Pastime with good company」などの楽曲でしょう。
これらの楽曲は現在でもCMに起用されたり、カバー楽曲がつくられている曲です。しかし、これらの作家の活躍がありながらも、17世紀末からはイギリスでは後世に名を残すような作家はパッタリと姿を現さなくなってしまいました。
その直接的な原因とされているのは、17世紀中期に起きたクロムウェルによる革命です。クロムウェルは競馬や賭博、演劇などの娯楽を「人間を堕落させるもの」として全面的に禁止します。そしてその娯楽の中には、音楽も含まれていました。
これによりイギリスの音楽は一気に衰退してしまいますが、それから200年ほど経った19世紀には再び、イギリスからの優れた作曲家が姿を現すようになります。
19世紀以降のイギリスの作家では、「威風堂々」を作曲したエドワード・エルガー、「木星」などが含まれる組曲「惑星」を作曲したグスターヴ・ホルストらが有名どころでしょう。そこから20世紀には「オペラ座の怪人」の劇伴担当したアンドルー・ロイド・ウェバーなども登場し、イギリスのクラシック音楽は復活を遂げています。
イギリスではクラシックの優れた楽曲もさることながら、バグパイプやコンサーティーナ、イングリッシュギターなどの独特な楽器が使用された、伝統的な音楽が生まれています。この章では、イギリスの音楽に使われる独自の楽器についてご紹介していきます。
バグパイプは吹管と4本のリードで甲高い和音を鳴らす、スコットランド、ひいてはイギリスのアイデンティティーともいえるような管楽器です。バグパイプの発祥はスコットランドであると広く認識されていますが、正確には13世紀~15世紀ごろに中東から伝来した楽器であるといわれています。
16世紀ごろには軍隊を鼓舞する目的で使用されており、バグパイプの名手であることは非常に誇り高いことといわれていたようです。スコットランドがイングランド軍に降伏してイギリス諸国に含まれたことから伝統の一部は衰退するものの、現在でもその歴史は継承されており、バグパイプは伝統的な大会や結婚式に使われます。
コンサーティーナは1800年頃にイギリスの物理学者チャールズ・ホイートストンが発明した、アコーディオンとよく似た構造をもつ楽器です。重厚なアコーディオンとは違い、素朴でかわいらしい音色と多角形の見た目が特徴的で、おもにアイルランドの伝統音楽を演奏する際などに用いられます。
基本的な演奏方法はアコーディオンとほぼ同じで、座りながらでも立ちながらでも演奏することが可能です。中には踊りながら演奏をする奏者もいるようですね。
また、コンサーティーナは大きく2種類にわけられます。蛇腹を押し引きした際に音が変わるものをアングロコンサーティーナ、同じ音が出るものをイングリッシュコンサーティーナと呼びます。
イングリッシュギターは17世紀~18世紀後半にイギリスで流行したとされる弦楽器です。シタールによく似た楽器で、低音部の2本の単弦と2本組×4の高音弦、計10本の弦をもつのが特徴となっています。
鳴りのよいあたたかな音色もさることながら、整った見た目も高く評価されていたようで、18世紀ごろの絵画にはイングリッシュギターがよく描かれています。楽器自体は19世紀を境に廃れてしまい、現存しているものはどれも貴重なものとなっていますが、現在でも根強いファンの多い、魅力あふれる楽器となっています。
20世紀以降のイギリスの音楽で広く知られるものといえば、ビートルズをはじめとしたロックバンドによる楽曲でしょう。イギリスの時代ごとの文化やムーブメントに影響された彼らの音楽は、アメリカのロックミュージックと区別化され、「UKロック」といわれる一大ジャンルとなっています。
UKロックは本国アメリカでも高い人気を博し、ビートルズ、ローリングストーンズなどのUKロック最初期のバンドらによる全米ツアーはたびたびおこなわれていました。UKロックはイギリスで生まれたロックミュージックを現す言葉で、明確にどんなジャンルという決まりがあるわけではありません。
そのため、現在ではUKロックの中でも数えきれないほどにジャンルは細分化されており、さまざまな解釈の楽曲が生まれています。近年でもそれらに影響を受けたオアシス、レディオヘッド、アークスティックモンキーズなど、世界的に名を轟かすUKロックバンドが数多く生まれています。
日本でもクイーンを題材にした映画がヒットするなど、しばしばUKロックによる大きな盛り上がりが見られることもあります。これからも変わらず、次世代のUKロックバンドたちが音楽ファンを楽しませていくことでしょう。
イギリスの音楽にはさまざまな歴史があり、ジャンルを問わず多くの有名な音楽家たちが輩出されています。そんな彼らが育ったイギリスで音楽留学をすることによって、学べることは多くあるかもしれません。
イギリスの音楽大学には、クラシックや伝統音楽のほか、現代音楽を専攻できる大学もあります。イギリスでおすすめの音楽大学について、いくつかご紹介いたします。
イギリスの中央部の田園地帯には、リーズ音楽大学があります。ここでは学士、修士課程、職業資格取得コースなどのさまざまなプログラムが用意されており、クラシック専攻をはじめ、さまざまなジャンルの音楽について学ぶことができます。
リーズ音楽大学ではふたつの選考を組み合わせた学科もあるほか、クラシック専攻であってもジャズなどの他分野の経験をもつことを強く推奨しています。クラシックの伝統を踏襲しながら、それにとらわれないような音楽をつくる足掛かりになるかもしれません。
また、クラシックを学ぶのであれば英国王立音楽院などもおすすめです。この学校の創立は1822年となっており、イギリスのクラシック音楽が復活した19世紀以降を支えた作家を多く輩出している伝統ある学校となっています。
長い歴史がありながらも、伝統にとらわれない新しい知識を積極的に取り入れているほか、演奏発表の場も用意されており、実戦的な音楽の力をつけることができるでしょう。
また、この学校では個別に講師がつく制度が整っているのが特徴です。短期留学制度や、ほかの大学に通いながら学べる制度も用意されており、自身の状況や考え方にあわせながら、効率的な学習ができるようになっています。
イギリスで現代音楽を学ぶのであれば、ロンドン大学の音楽学部を目指すとよいかもしれません。ここでは幅広い範囲での学位コースが用意されており、現代のポピュラー音楽に関しても深く学ぶことができます。
作曲技術のほか、スタジオでのエンジニアリング、アートマネジメントなどの知識を学ぶことで、音楽ビジネスのノウハウを十分に身につけて卒業することができるでしょう。また、実際に現場で活躍するトップアーティストからの指導を受けるカリキュラムもあります。
イギリスでは17世紀中期のクロムウェルの革命により、音楽が一時衰退した時期がありました。しかし、19世紀以降の近年にはクラシックの文化が復活を果たし、「威風堂々」や「木星」など、現在の日本でもよく耳にするような楽曲が生まれています。
クラシックのほかにも根付いている音楽の歴史があり、バグパイプやコンサーティーナなど、現在でも使用される伝統楽器も存在します。また、1960年代以降の近年のイギリスで生まれたUKロックによって、現在ではイギリスはロックの聖地と呼ばれるようになりました。
こうしたイギリスの音楽の歴史を体感するために、イギリスへ音楽留学にいってみるのもよいかもしれません。
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