サッカーなどスポーツの国際試合でイングランド代表が活躍する姿を見ることができますが、イングランドとイギリスが具体的にどう違うかちょっとわからない方は多いのではないでしょうか? 実は「イギリス」という呼び方をしているのは日本だけなのです。今回はイングランドとイギリスの違いについて解説します。
CONTENTS
わたしたちがイギリスと呼ぶ国の正式国名はthe United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland、日本語でグレートブリテン及び北アイルランド連合王国といいます。略称はUK、United KingdomもしくはGreat Britainです。
イギリス(UK)は連合国家もしくは連合王国です。4つの国から構成され、それぞれの国が首都や国旗、独自の文化を持っています。よく混同されるイングランドもイギリス(UK)を構成する国の1つです。
では、なぜ日本はイギリスと呼んでいるのでしょうか?その答えは1600年代までさかのぼります。当時、通訳や主な通商の相手だったポルトガル人のポルトガル語「inglez(イングレス)」やオランダ語「Engelsch」からエゲレスという言葉になり、それが後々変化したといわれています。
イギリス(UK)を構成するのはイングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの4つの国です。1707年にスコットランドとイングランド王国が合併し、グレートブリテン連合王国が成立しました。この時点でウェールズもイングランドに含まれています。
1801年にグレートブリテン及びアイルランド連合王国が成立し、アイルランドが連合に参加します。1922年に北アイルランドを残してアイルランドが独立したことで、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国へ改称しました。
イギリス(UK)の国旗は、イングランド、スコットランド、北アイルランドの有力諸侯の旗の要素をあわせたものでユニオンジャックと呼ばれています。その時点で、ウェールズはイングランドに併合されているため、含まれていません。
サッカーやラグビーの国際試合では、4か国がそれぞれ別の国としてエントリーしています。そのため、イングランドもイギリスの国旗ではなく、独自の聖ジョージ旗をもとにしたユニフォームを着用しています。
首都をロンドン、国旗は白地に赤い十字架の聖ジョージ旗としています。また、ロンドンはイギリス(UK)の首都でもあります。
スコットランドの首都はエディンバラです。青地に白の斜め十字帯が特徴の聖アンドリュー旗を国旗としています。 また、ゴルフ発祥の地としてセント・アンドリューズが有名です。ゴルフの聖地ともされています。イングランドとの争いが長く、1707年の合同法でイングランド王国と併合しました。バグパイプや民族衣装キルト(スカート)で有名なのもこの国です。
イングランドに服従していたため、ユニオン・ジャックにウェールズの旗は含まれていませんが、独自の国旗を持っています。白と緑の背景に赤いドラゴンが描かれています。首都はカーディフであり、美しい田園風景が広がっています。ヨーロッパのどの国よりも城が多い地域であり、600以上あるとされています。
とくに有名なのは世界遺産にも登録されたコンウェイ城です。また、ウェールズ人はケルト人にルーツがあるとされています。ウェールズ語はケルト語の派生であり、今もウェールズの人々はこの言語を大切にしています。
アイルランドの白地に赤い斜め十字帯である聖パトリック旗を国旗とし、首都はベルファストです。船舶の修理をおこなう世界最大のドライドッグがあり、タイタニック号が建造された場所です。
アイルランド島の北の一部であり、アイルランドの統一や独立に関し争いが絶えなかった国でもあります。1997年にはIRA(アイルランド共和軍)が、北アイルランドの独立を目的として武装活動をおこないました。
イギリス(UK)を構成する国の1つ、イングランドはゲルマン民族のアングル・サクソン人が中心の国です。また、イングランドとイギリス(UK)の首都は同じロンドンです。4つの国を統治しているのが英国議会であり、場所はロンドンにある国会議事堂です。しかし、他の3か国にも議会が存在し、教育や医療などの分野で条項や法律をそれぞれの国ごとに制定しています。
ロンドンはロンドン市とは別に、グレーターロンドンと呼ばれるエリアが存在します。このグレーターロンドンもまたロンドンであり、ウェストミンスターといわれる行政区画には首相官邸、王立裁判所など重要な政府機関が集結しています。
イングランドには世界に誇る学園都市が存在します。オックスフォード大学で有名なオックスフォードや、ケンブリッジ大学で知られるケンブリッジなどです。街のいたるところにカレッジと呼ばれる学寮が点在し、それらのカレッジ群を総称してオックスフォードもしくはケンブリッジ大学と呼ばれます。
イギリス(UK)で使用される英語は階級や人種ごともしくは、地域独自の言語が英語に影響を及ぼしていることがあります。英語、スコットランド・アクセント、ウェールズ・アクセント、北アイルランド・アクセントにざっくり区別されます。そこからさらに細分化していきます。
英語に関してはイングランドがイギリス英語として最もイメージしやすいのではないでしょうか。しかし、実際にイングランド人(English)は英語を使用しますが、 首都ロンドンだけでも複数の英語が存在します。コックニーは労働者階級が話す英語であり、そのために低く見られることもあります。
また、テムズ川河口域で使用された河口域英語も確認できます。一般にイギリス英語とされるのは上流、中流階級の英語といわれる容認発音(RP)の英語です。
スコットランドには英語に近い言語、スコットランド語が存在し今でも利用するスコットランド人が多くいます。英語とはスペルが異なる部分もあり、英語話者には理解が難しいとされています。英語も話していますが、「Scottish English」と呼ばれ、アクセントや単語は大きく異なります。
ウェールズでは英語とウェールズ語が公用語として使用されています。英語にも日本語にもない独自の発音があるウェールズ語の影響を受けているため、日本人などにとってウェールズ英語は聞き取りにくいとされます。
北アイルランドではアイルランド語も使用されています。そのため、アルスターと呼ばれるアクセントがこの地方の英語にはあります。アイルランドに近いイングランドのリバプールは移民などでアイルランド出身者が多いため、なまりに影響を受けていて、別名「Scouse」と呼ばれています。
あなたが相手をイギリス人と呼ぶときは、British(ブリティッシュ)を使用しましょう。イギリスを構成するそれぞれの国の人たちは、自分の国や独自の言語、文化に誇りを持ち続けているため、UKのどの出身かわからないときはBritishが最も無難な呼び方とされています。
イギリスを訪れることがあれば、ぜひさまざまな国の影響を受けた英語に触れてみてください。英語への興味を持つことは、習得にもつながるかもしれません。イングランドとイギリスの違いから、これらの国々について関心を持つことにつながれば幸いです。
Q&AまとめQ&A
歴史ある文化や伝統が色濃く残るイギリスは、古い伝統も守りながらも、 常に流行の発信地としてファッション・アート・音楽・考え方や技術などを生み出し世界中に発信している国としても有名。 英語教育にも古い歴史をもち、語学学校の質や教育レベルも世界的に高いです。 英語発祥の地として、上品なクイーンズイングリッシュを学ぶことができることが魅力。 多国籍国家でもあるため国際色豊かで留学生でも住みやすい雰囲気があります。 ヨーロッパ各国へ小旅行を楽しむこともできる、ヨーロッパの魅力たっぷりの国です。