英語が話せるようになりたい、海外で暮らしたいなど、留学を目指す理由は人それぞれです。オーストラリアは自然が豊かで治安もよく、高校生の留学先としてもよく選ばれています。
将来の夢を叶えるために充実した留学生活を送りたいところですが、その前に気になるのが留学にかかる費用でしょう。オーストラリアに留学するには、どのくらいの費用を用意すればいいのでしょうか。
今回は、オーストラリアの教育制度やその特徴などの基礎知識を踏まえて、留学にかかる費用を紹介します。選ぶ学校や滞在期間で大きく変わりますので、しっかり把握しましょう。
また、高校留学の基礎知識やメリットなどについてはこちらの記事でまとめていますので、ぜひ合わせてご覧ください。
CONTENTS
高校留学で一番多く選ばれているのはアメリカで26.8%、次に多いのが24.4%のオーストラリアです。国土が広く学校数の多いアメリカとの差は2.4%ほどしかなく、いかにオーストラリアが留学先として人気があるかわかるでしょう。オーストラリアの人気の秘密はさまざまです。
高校留学の1つの目的は異文化交流です。オーストラリアは多民族国家でもともと異文化を受け入れる素地があり、留学制度も積極的に整備してきました。そのため、オーストラリアにはさまざまな国から留学生がやってきます。それぞれの文化を持つ国の留学生と肩を並べながら過ごす異国での生活は、多感な高校生にとって大きな影響となるでしょう。未成年の子どもを1人で留学させるのは心配だという親もいるかもしれません。
しかし、オーストラリアは世界のなかでも住みやすい都市が多く、治安の良さでも知られています。国民の多くは大らかでフレンドリーなので、留学先としてはもってこいの国です。また、オーストラリアは教育制度の質が高く、国際的に高い評価を受けています。世界大学ランキングでは、オーストラリアの大学が7校も100位以内に入っています。全体の大学数が40校程度であることを考えると、教育制度全体の水準の高さがうかがえるでしょう。留学生の多さはそのまま大学進学率にもつながっており、オーストラリアは世界で一番大学進学する人が多くなっています。
国土の広いオーストラリアは都市によって気候が変わり、地域によって自然も変わります。世界有数のビーチがあったりマングローブがあったり、内陸へ足を進めると乾燥地帯で砂漠が広がっていたりもします。観光地としても人気があるので、滞在中にオーストラリア国内の旅行も楽しめるでしょう。旅先での触れ合いや日本とは全く違う文化の体験は、高校留学のなかでもかけがえのない記憶となって残るのではないでしょうか。
オーストラリアの教育機関は、その7割が国公立です。首都キャンベラ州以外は、各州の教育省が教育制度の管理や留学生の受け入れを行っています。Australian Qualifications Framework(AQF)という教育制度によって学習期間が区切られ、それぞれの学習部門を修了すると資格が与えられる仕組みです。
義務教育期間はYear1~10までの10年間です。日本でいう小学1年生から高校1年生までで、中高一貫教育と考えるとわかりやすいでしょう。Year10を終えると進学か就職かにわかれ、進学する場合はYear11、12と勉強を続けます。Year1~7の期間をプライマリ・スクール、Year8~10をジュニア・セカンダリー・スクール、Year11と12をシニア・セカンダリー・スクールといいます。
学校の種類は公立と私立で、約7割は州が運営する公立校です。のびのびとして自由な校風な学校が多く、宗教も関係なくさまざまな人種の生徒が通っています。対して、私立高は学校ごとに細かい規則を設けているケースが多いです。また、共学は公立のほうが圧倒的に多く、カトリック系が多い私立高の3割は男女別学です。ただ、州立も私立も生徒の自主性や個性を伸ばす教育方針なのは共通しています。
クラスは20人~30人と少人数で、授業時間は9時~15時頃までの学校が大半です。決まった教室がなく、授業ごとに教室を移動するのも大きな特徴です。放課後は清掃活動やサークルはなく、家族との時間を楽しんだり習い事をしたり生徒各々が自由に過ごします。ただ、日本と同じように宿題や課題はあります。留学生は英語に不慣れなこともあり、放課後の予習復習は授業についていくための重要なポイントです。特に、英語に慣れないうちは英会話もしっかり学ぶ必要がありますので、オーストラリアの一般的な高校生よりは勉学中心の生活になるでしょう。
高校留学には、交換留学と私費留学の2種類があります。交換留学とは、ホームステイでオーストラリア家族と一緒に過ごしながら、現地の高校に通う方法です。期間は1年ですが、オーストラリアは1学期2カ月半の4学期制なので、1年留学の期間は約10カ月になります。交換留学では州立学校への留学になり、基本的に自分で好きな学校を選べません。ただ、州の認可を受けた高校への留学なので、高校が違っても教育水準に大きな違いがないので安心して通学できるでしょう。
海外での経験がない高校生にとって滞在方法がホームステイなのも、留学生活を送るうえでの大きな安心感になります。ホストファミリーも自由に選択できませんが、交換留学生のためにボランティアで受け入れてくれるので、留学生に対して協力的な家族が多いです。ホストファミリーとの生活を通して英語の習得が早くなり、オーストラリア独特の文化も体感できるでしょう。
一方、高校留学で多いスタイルが私費留学です。日本の夏休みにあたる7月半ば~8月末は、オーストラリアの3学期にあたります。そのため、夏休みを利用して現地の高校に通う短期留学も人気です。留学期間が1年になると、一旦日本の高校を休学してオーストラリアに渡ります。オーストラリアでの通学が日本で認定されるかは高校によって違いますので、在学中の高校にしっかり確認する必要があります。留学が2年~3年に及ぶ場合は、日本の高校は退学してオーストラリアの高校に通います。期間が長いのでそのまま現地の高校を卒業するケースが多いです。そのままシニア・セカンダリー・スクールを修了できれば、高等教育部門にあたる大学や職業教育訓練部門への進学も可能です。
交換留学と私費留学では、同じ留学でも特徴が違います。いずれにしても高い水準の教育が受けられるので、滞在方法や留学費用などをしっかり把握して選ぶようにしましょう。
オーストラリアの高校留学費用は、滞在期間で大きく変わります。1カ月の短期留学なら30万円~60万円、1学期にあたる3カ月なら80万円~100万円、2学期分なら120万円~200万円、1年間なら200万円~450万円です。内訳は学校関連、滞在先関連の2つに大別できます。学校関連でかかるのは、入学金、授業料、教材費、制服代などです。滞在先関連では、ホームステイ費や寮費です。食事代はホームステイ費や寮費に含まれているので、あとは学校までの交通費や自由に使えるお小遣いがあればOKです。
留学期間によって費用が大きく変わります。当然、用意しなければならない資金が違いますので、何を目的に留学をするのか、はっきりと決めたうえで期間を決める必要があります。日本の高校に通いながら留学をしたいなら、夏休みを利用した1カ月間の短期留学が良いでしょう。1カ月は過ごしてみるとあっという間ですが、人によっては初めての海外生活に不安を覚えるかもしれません。試しにオーストラリアに行ってみたいという人であれば、1週間からの超短期留学も可能です。留学プランによって違いますが、費用も20万円前後と安くなります。
オーストラリアに限らず、留学は日本とはまるで違う環境で過ごすので刺激が多く、慣れるととても楽しく感じるものです。一方で、英語の環境や生活習慣の違いに戸惑うことも多いでしょう。特に、留学して最初のうちはネイティブの英語が全く聞き取れず、不安になったりパニックになったりしてストレスのほうが多いかもしれません。オーストラリアで有意義に過ごすには、生徒一人ひとりの適正を見極めたうえで留学期間を決める必要があります。たとえ1週間~1カ月の短期留学でも、頭が柔軟で多感な高校時代であれば、さまざまなことを吸収できます。決して費用は安くないので、さまざまな観点から検討するようにしましょう。
前述した高校留学の費用は、同じ期間でも大きく幅がありました。これは、公立高校か私立高校かの違いです。費用を安く済ませるなら、公立高校への留学が主な交換留学が良いでしょう。交換留学でかかる1年間の費用は、200万円~250万円ほどです。学校によって若干違いますが、私立高校ほど差は大きくありません。
一方、私立学校は約250万円~450万円ほどで、学校の教育方針によって授業料や教材費など費用が変わります。一般的にオーストラリアの私立高校は生徒に対するサポート体制が高く、通常のカリキュラム以外の活動が充実しているケースが多いです。プールや図書館などの設備が整っており、留学生のための英語プログラムや課外活動プログラムなどが用意されています。もちろん、参加しなければその分の費用はかかりません。
私立高校を希望する場合は、学校に直接願書を提出します。やり取りはもちろんすべて英語ですから、英語に慣れていないと非常に大変です。そこで、私費留学の場合は多くの人が民間の留学エージェントに依頼を利用します。どの高校がいいのか、どれくらいの期間がいいのか、英語力はどの程度あったほうがいいのかなど、エージェントに相談をしながら留学準備を進められるのがメリットです。その分だけ、エージェントに支払う費用も用意しておく必要があります。金額が高くなりやすく気が引けるかもしれませんが、家族ですべての手配をすることを考えれば、かかる時間や労力はかなり軽減できるでしょう。
なるべく安い費用で、充実した留学内容を実現している留学エージェントもありますので、費用とサービス内容をよく確認して選ぶと良いでしょう。
オーストラリア留学で忘れてはいけないのが、海外留学生健康保険であるOverseas Student Health Coverへの加入です。略称OSHCは、学生ビザを取得するすべてのオーストラリア留学生が加入しなければなりません。加入期間は留学期間によります。3カ月留学なら加入も3カ月、1年なら加入も1年です。費用は1カ月で約3,000円、3カ月で1万円弱です。
OSHCは、オーストラリアの大手民間保険会社5社で取り扱っています。留学先の学校によって会社は異なりますが、すべて政府の認可を受けている保険会社なので、どの会社でも保険内容の違いはありません。OSHCに加入していると、万が一、留学中に病気やケガをしても治療費や処方箋代、入院費、手術費などが適用されるので非常に安心です。ただし、歯科治療費や眼科治療などには適用がありません。そのため、オーストラリア留学生のほとんどは、OSHCのほかに一般の海外留学生保険にも加入しています。OSHCの適用範囲外の治療もカバーしているほか、持ち物が盗まれたり壊れてしまったりした場合の携行品損害や不動産損害に対する保証もついています。
OSHCはすべてオーストラリアの保険会社なので、やり取りはすべて英語です。
一方、一般的な海外留学生保険なら日本語で対応しているのがメリットです。オーストラリアで英語が話せるようになっても、いざ病気やケガをしてしまったら、気が動転して思うように話せなくなるリスクもあるでしょう。特に、長期留学の場合は体のトラブルが生じる可能性は高くなります。オーストラリアは自然や野生動物が多いので、それらにまつわるケガも考えられます。OSHCだけでもOKですが、留学期間を踏まえたうえで一般の海外留学生保険も考えておくと良いでしょう。
オーストラリアは公立も私立も教育機関が充実しており、世界的にも高評価です。また、住みやすい国としても定評があります。近隣アジア圏からの留学生も多いので、オーストラリアの文化のみならず、たくさんの文化に触れながら充実した留学生活を送れるでしょう。また、長期留学ならオーストラリアの大学進学も目指しやすくなります。
10代のかけがえのない時期にすばらしい経験をするために、将来の目標のために、ぜひオーストラリアの高校留学を検討してみてはどうでしょうか。
Q&AまとめQ&A
オーストラリア留学は、海外渡航経験の少ない方にも自信を持っておすすめできます。 気さくでフレンドリーな人柄が魅力のオーストラリアは、多文化・多民族国家であるゆえ、外から来た人も馴染みやすく、何度も訪れたくなる心地よさがあります。 他の国に比べて留学生に対する制度が充実していて、国を挙げて手厚くサポートする体制が出来上がっているため、不安が多い海外生活も安心して送ることができるでしょう。 期間や渡航スタイルの選択肢が広く、短期留学やワーキングホリデーなど自分に合った形を選ぶことができるのもオーストラリア留学の大きなメリットです。