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TOEFLとIELTSには、試験の内容と方法に細かい違いがいくつかあります。まずはふたつの試験の違いを把握するために、それぞれの試験の特徴を比較していきましょう。
TOEFLの試験は受験者ひとりずつに時間が決められ、それぞれバラバラに進行します。リーディング、リスニング、ライティングの試験は受験者ひとりに1台与えられるパソコンを使って解答し、スピーキングの試験はマイクに向かって録音する形式です。
IELTSは決まった時間の受験者全員が同時に進行します。リーディング、リスニング、ライティングは筆記試験で、スピーキングは試験官との面接形式です。
内容はどちらもリーディング(読む)、リスニング(聞く)、ライティング(書く)、スピーキング(話す)の4項目で構成されています。TOEFLとIELTSの違いは、順番とそれぞれの時間配分です。
●TOEFL
①リーディング(60分~80分)
②リスニング(60分~90分)
③スピーキング(20分)
④ライティング(50分)
TOEFLの試験は合計約4時間で、1日でおこなわれます。
●IELTS
①リスニング(40分)
②リーディング(60分)
③ライティング(60分)
④スピーキング(10~15分)
IELTSの試験は約3時間です。2日にわけて、スピーキングのみ翌日におこなわれることもあります。
TOEFLのリーディング問題では、日常ではあまり使わないような学術的な単語が多く登場します。対してIELTSのリーディング問題は一般的な単語が中心ですが、単語数が多く文章が長いのが特徴です。また、リスニングの問題ではTOEFLがアメリカ発音なのに対してIELTSはおもにイギリス発音になっています。
TOEFLのライティング問題は、リスニングとリーディングをおこなったうえでそれに対する意見をまとめて記述する総合問題です。IELTSはグラフや表を分析してまとめる問題と、それに対しての意見を記述する2問の構成になっています。
スピーキングは話す状況に大きな違いがあります。TOEFLはリスニングやリーディングの記述をまとめた内容と、それに対する自分の意見をスピーチする2部構成です。IELTSは試験官との面接形式であいさつや自己紹介をしたのち、試験官の質問に対して意見を述べ、ディスカッションするという形式でおこなわれます。
「TOEFLとIELTS、どっちを受けたらよいかわからない」という方は、まずは留学先をどこにするかということから考えてみましょう。留学する際にはTOEFLもIELTSも、一定の英語力をもっていることの証明として用いられます。ただ、国や大学によって、証明として認めている試験が違う場合があるのです。
とくに注意すべきは、留学先としてアメリカかイギリスを選ぶ場合です。TOEFLもIELTSも英語圏のほとんどの教育機関で採用されていますが、アメリカの一部の大学ではIELTSを認めていないところもあります。また、イギリスは留学ビザ申請時に英語力の証明としてTOEFLを認めていません。
これは、それぞれの試験を主催する国と機関が違うからです。TOEFLはアメリカのETSという非営利教育団体が開発、運営しています。IELTSはイギリスの国際交流機関であるブリティッシュ・カウンシルが、ケンブリッジ大学と共同開発して運営しています。
TOEFLにはアメリカ式の、IELTSにはイギリス式の教育理念や方式が色濃く反映されています。そのため、海外から留学生を受け入れるにあたってアメリカではTOEFL、イギリスではIELTSのほうがより確実な証明になると考えられているのでしょう。
留学する国が決まったら、その国と学校が採用している試験の種類を確認する必要があります。留学先がアメリカならTOEFL、イギリスならIELTSの試験対策をすすめていくのがいいでしょう。
どちらの試験も認めている留学先を選んだ場合、やはりどちらがいいのか迷ってしまいますね。その場合は、自分がより得点を取りやすいほうの試験を選ぶのが得策です。
しかし、一概にこちらのほうが簡単だと言い切ることはできません。TOEFLにもIELTSにも、それぞれ人によって向き不向きがあります。ここでは、どんな人がどちらの試験に向いているのかの傾向を解説していきましょう。
IELTSのライティング問題は筆記の形式でおこなわれますが、TOEFLはパソコンを使います。入力しなければならない解答の量もIELTSに比べて多いです。
普段からパソコンを使い慣れていない方は解答を入力していく作業で手こずってしまい、実力が出せないこともあるでしょう。パソコンの操作が苦手だという方には、IELTSのほうが向いています。
TOEFLのリスニング問題はすべての音声を聞き終えた後に問題を読んで回答していく形式です。単純な聞き取りの能力だけでなく、要点を把握する理解力も必要とされます。対してIELTSのリスニング問題は音声を聞きながら、同時に問題に答えていく形式です。その点ではIELTSのほうが難易度は低いといえます。
ただし、IELTSの音声はイギリスを中心としたさまざまな国の発音が取り入れられており、なまりが強いという特徴もあります。IELTSの試験に臨むのであれば、なまりのある英語にも対策をしておく必要があるでしょう。
TOEFLのスピーキング問題は、リーディングやリスニングと組み合わせた総合問題になっています。マイクに向かって録音する形式なので、考えを簡潔にまとめて時間内に話すという高度なスピーチ能力が必要です。
一方IELTSは試験官と対話する形式なので、試験官の表情から情報を読み取ったり、上手く聞き取れなければ聞き返したりすることができます。話すほうも話しながら内容をまとめたり、間違えたら言い直したりといったこともできるでしょう。
一方的に長く話すことが苦手な方や、スピーチ以外の能力にあまり自信がないという方にとってはIELTSのほうが向いているといえます。
TOEFLの難易度を上げている大きな要因が、ライティングやスピーキングの総合問題です。IELTSにはこのような総合問題がないので、苦手な部分を集中的に対策することもできるでしょう。
また、TOEFLとIELTSの違いは得点のつけ方にもあり、TOEFLが各問題の合計が得点になるのに対し、IELTSは各問題の平均点が最終的な得点になります。そのため、IELTSではひとつの分野で得点がとれなくても、ほかの分野を強化してカバーすることもできるのです。なにかひとつ苦手な分野があるという方は、IELTSのほうが得点をとりやすいかもしれません。
どちらの試験を受けるか決まったら、申し込みをしましょう。TOEFLやIELTSの試験の申し込みでは英語を使いますし、複雑なのでわかりづらいところもあります。ここで、それぞれの申し込み方法を簡単に確認しておきましょう。
TOEFLの試験は日本では年間約50回、90か所の会場でおこなわれています。受験料は235ドル(1ドル108円換算/約25,500円)で、申し込み締め切りは試験日の1週間前です。TOEFLの申し込みは郵送か電話、オンラインでおこなうことができます。ここではオンラインでの申し込み手順を簡単に紹介します。
①アカウント登録
まず、TOEFLの公式サイトにアクセスしましょう。プロフィールを入力してアカウント登録をしていきます。必須項目をすべて入力してデータを送信したら登録内容が表示され、確定したらアカウント登録は完了です。
②受験申し込み
アカウントを登録すると、「My Home Page」にアクセスすることができます。「My home page」のなかにある「TOEFL test」をクリックすると、申し込みの画面が表示されますので、試験を受ける場所と日時を選択し、パスポートのIDを入力して送信します。
③受験料の支払い
次に支払い方法の選択画面が表示されます。選択すると申し込み内容と受験料の合計が表示されますので、もう一度確認しましょう。支払いはクレジットカードか、オンライン申し込みであればペイパルも利用可能です。カードの情報を入力して送信したら、申し込みが確定します。
日本ではIELTSの試験は年間約36回、18か所の会場で実施されています。会場によって実施日が異なることがありますので、申し込み時に確認しておきましょう。受験料は234ドル(1ドル108円換算/約25,400円)で、申し込み締め切りは試験日の4週間前です。
IELTSも電話、郵送、オンラインで申し込みができます。こちらもオンラインでの方法を見ていきましょう。
①IELTS IDを取得
IELTSの公式サイトにアクセスし、ID登録をします。氏名や住所、パスポート番号などの個人情報を入力してください。
②新規受験登録
IELTS IDを取得できたら、マイページにログインすることができます。受験者情報を入力し、試験の場所と日程を選択しましょう。
③受験料の支払い
次に支払い方法を選択します。支払いはクレジットカードかコンビニでの支払い、もしくは郵便局のATM支払いが可能です。クレジットカードの場合はカード情報を入力し、登録完了のメールが届けば完了です。
ATM支払いの場合は登録完了のメールが届いた後、ATMへいって受験料を支払いましょう。支払い確認のメールが届けば、登録完了です。
④パスポート
その後、試験までにパスポートの画像データをアップロードするか、試験当日にパスポートのカラーコピーを持参する必要があります。どちらが必要かは試験の日付によって変わりますので、確認しておきましょう。どちらの場合でも、試験当日にはパスポート原本も必要です。
TOEFLやIELTSで高得点を取るための対策として、まず留学をしてみるというのもひとつの手段です。一定の英語力がなければ大学へ留学することは難しいですが、語学学校であれば、自分の英語レベルにあった学校を選んで留学を実現できます。
多くの語学学校にはTOEFLやIELTSに特化した対策コースがあり、試験対策に効果的なカリキュラムを用意しています。対策コースで集中的に学ぶことで、試験で高得点をねらうことができるでしょう。
アメリカやイギリスの語学学校でネイティブと会話を交わしながら学べば、実践的なリスニングやスピーキングを身につけることができるでしょう。周りに日本人がいない環境に身を置けば、勉強に集中することもできます。目指す試験の本場で質の高い教育を受けられるのは、語学留学の大きな魅力です。
アメリカやイギリス以外の試験対策の留学先としては、フィリピンも人気があります。フィリピンの語学学校ではマンツーマンの授業スタイルが多く、自分の苦手な部分をじっくりと勉強することができるのです。
フィリピンは日本から近く、短期の留学であればビザも必要ありません。また、フィリピンへの留学はほかの国と比べて費用が安く済むことが多く、後々の留学を見越しての留学にはピッタリなのです。
TOEFLやIELTSの対策コースがある語学学校や自分に適した留学先は、留学エージェントに相談して探してもらうことができます。多くの方の留学を手助けしてきた留学エージェントは、それぞれの国や語学学校の特徴をよく知っているのです。
「TOEFLやIELTSを受けたいと思っているけど、どんな対策をすればいいのかわからない」という方は、一度留学エージェントに相談してみると道が開けるかもしれません。
TOEFLとIELTSはどちらも英語力の証明として役立つ試験ですが、試験の形式や出題傾向などの細かい部分に違いがあります。TOEFLはイギリスの留学ビザ申請では認められておらず、IELTSはアメリカの一部の学校で認められていないので、注意が必要です。
それぞれの試験の特徴を把握することで、自分がどちらの試験に向いているか判断することができるでしょう。より高得点をねらいやすいほうを選んで対策するのがポイントです。
また、試験対策として語学留学をするのもよいかもしれません。多くの語学学校にはTOEFLやIELTSに特化した対策コースがあり、集中的に学ぶことができます。対策コースを用意している語学学校は留学エージェントに探してもらうことができるので、一度留学エージェントに相談してみることをおすすめします。
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