アメリカの文化には、日本と異なる部分が多くあります。文化や習慣が異なるため、留学や旅行で滞在する際には注意しなければいけないこともあります。
この記事では、日本とアメリカの文化や習慣の異なる点についてご紹介していきます。 アメリカへの留学や旅行を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
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日本とアメリカでは、文化が大きく異なります。この章では、日本とアメリカ文化の違いについてご紹介していきます。
アメリカでは、法律上銃を所持することが許されています。そのため、アメリカは危険だと思うかたもいらっしゃるかもしれません。実際に、日本と比べると発砲事件の数はとても多いです。しかし、銃の所持や販売に関してはしっかりとしたルールがあります。
銃の規制は州法によって異なりますが、基本的に殺傷能力が高いものや銃弾が多く装填できるものは一般の取引が禁止されています。また、他人に危害を加える危険性がある人からは銃を没収できる法律もあります。さらに、銃を購入する際には検査を受ける必要があるため、だれでも無制限に銃を所持できるわけではありません。
アメリカは、もともと移民によってできた国です。多種多様な人種が入り混じっているため、さまざまな文化や習慣、価値観に触れることができます。
アメリカの公用語は英語だと思っている方もいらっしゃるでしょう。しかし、アメリカには公用語と呼ばれるものがありません。これはアメリカが移民大国であり、さまざまな言語が入り混じっていることに由来しています。しかし、州単位で見ると英語を公用語としている場所もあるようです。
日本ではあまりなじみがありませんが、アメリカにはサマータイムが存在します。サマータイムとは、夏に時計を1時間進めることです。社会全体の活動時間が早まることによって、消費電力の削減や消費活動の増加などが期待されています。
アメリカ人は自由と個人主義を重んじる一方で協調性や助け合いの精神も強い特徴があります。ここでご紹介する日本との違いを学び、アメリカ人の価値観を理解しましょう。
日本では「空気を読む」文化が根付いているのに対し、 アメリカでは自分の意見をはっきり述べることが尊重されます。
これは、日本が 相手の立場や感情を考慮するハイコンテクスト文化であるのに対し、アメリカでは 言語による明確な意思表示が求められるローコンテクスト文化であるためです。
例えば、レストランでの友人同士の会話において日本では相手の希望を尊重し、自己主張を控えるのが一般的であるのに対し、アメリカでは直接的に自分が食べたいものを主張するといったような違いがあります。留学でこのようなシーンに遭遇した際には、意見が違っても、それをもとに相談して決めるようにしましょう。
アメリカ社会では、人種、宗教、価値観の多様性が尊重されることが重要視されています。これは、移民国家として成り立ってきた歴史と関係があり、異なる文化的背景を持つ人々が共存するために、多様性を受け入れる姿勢が求められてきました。
アメリカでは、特定の人種や性別、宗教に対して差別的・攻撃的な発言を避ける「 ポリティカル・コレクトネス(PC)」という概念が浸透しています。例えば、性別に関する呼称(「policeman」ではなく「police officer」)などの言葉遣いに注意を払うことが一般的です。
「アメリカ人はみんな背が高いですね」 といった発言は ステレオタイプと捉えられる可能性があります。対策として、個人差があることを前提にし、「あなたは背が高いですね」など個人に焦点を当てるようにしましょう。
「クリスマスはみんな祝いますよね?」といった発言は イスラム教やユダヤ教の人には不適切です。「年末はどんな風に過ごしますか?」と相手に自由に話してもらう形にするよう対策をしましょう。
アメリカでは「自由」と「個人の権利」が非常に重視されており、その背景にはアメリカ建国の理念があります。独立宣言には「生命、自由及び幸福の追求」が基本的人権として明記されており、この考え方は現代のアメリカ社会にも根付いています。日本では和を大切にし、集団の調和を優先するという考え方が一般的です。
例えば、日本では会議で「全員の意見をまとめること」が重視されるのに対し、アメリカでは「一人ひとりが自分の意見を述べること」が求められます。
▼留学生活で直面する可能性のある場面と対処法
寮生活でのルール決めにおいて「ルームメイトが夜遅くまで音楽をかけている」といった状況下において日本では我慢することが美徳とされがちだが、アメリカでは直接「音量を下げてほしい」と伝えるのが一般的です。ルールを決める際は感情的にならず、論理的に伝えることが重要です。
アメリカは、世界各国からの移民によって形成された国であり、地域ごとに異なる文化的特徴があります。
さまざまな文化が混在し、異なる価値観が共存している。レストランの種類も豊富。
環境問題やLGBTQ+への配慮が進んでおり、自由な生き方を尊重する傾向が強い。
クリスチャンの価値観が社会に根付いており、宗教が生活に深く関わる。
事前に自分の留学先の文化を調べておくことで、文化的な摩擦を減らし、スムーズに適応できるでしょう。
学校や職場にも日本とは違うアメリカ文化があります。この章では、学校や職場のアメリカ文化をご紹介していきます。
また、こちらの記事ではアメリカの教育制度や学校生活について詳しくまとめています。アメリカ留学にご興味のある方はぜひ合わせてご覧ください。
アメリカの大学では、学生が主体となって授業を進める「参加型」のスタイルが一般的です。受動的に講義を聞く日本の授業とは異なり、アメリカではディスカッションや発表、グループワークが多く取り入れられており、自分の意見を発信することが求められます。授業への積極的な参加は評価にも直結するため、「発言する力」はとても重要です。また、質問することも高く評価される文化があり、「わからないことを聞く」ことは恥ずかしいのではなく、学ぶ姿勢として歓迎されます。
アメリカの大学では、 授業中のディスカッションへの参加が重要視され、成績評価の一部となることが多いです。日本の講義型授業とは異なり、学生が積極的に発言し、意見を交換することが求められます。ここでは、日本人留学生が実践しやすい発言の型やフレーズ、事前準備のポイントを紹介します。
① 賛成・反対を示す発言
② 自分の意見を述べる
③ 他の人の意見を受けてコメントする
アメリカの大学では、教授とのコミュニケーションが成績や学習の成功に大きく影響します。教授に質問や相談をすることは一般的であり、推奨される文化です。
オフィスアワーの活用法
教授は「オフィスアワー」を設けており、学生が質問や相談をしに行くことができます。
活用のポイント
事前に質問をまとめる: 何を聞きたいのか明確にしておく
メールで予約を取る: “I’d like to discuss [topic]. Do you have time during your office hours?”
教授にメールを送る際はフォーマルな文章を心がけましょう。
講義内容について話す: 「この部分がわかりにくかった」と具体的に伝える
アメリカの大学には セメスター制(年2学期)と クォーター制(年4学期)があり、学期の長さや履修スタイルが異なります。セメスター制は1学期約16週間でじっくり学べ、クォーター制は約10週間でテンポが速いのが特徴です。
新学期は8〜9月、1月に始まり、履修登録は学生自身が行います。履修変更可能な「Add/Drop期間」を活用し、合わない授業を調整できます。また、夏休みのサマースクールや1月の短期集中講義(J-term)など、特殊な学期制度もあります。
留学前に自分の大学の学期制度を確認し、履修登録のスケジュールを把握することが重要 です。
アメリカの中学からは、日本の大学のように自分で受ける授業を選択します。選択する科目には、必須科目といわれる必ず取得しなければいけない科目があります。アメリカの中学校の必須科目は、数学、国語、社会、理科、科学、公民です。選択科目には、音楽や家庭科、外国語などがあります。
アメリカの評価方法とGPA制度
アメリカの大学では、日本のような一発試験ではなく、授業参加・課題・小テスト・プレゼンテーション など、日々の成績(平常点) が重要視されます。GPA(Grade Point Average)制度も導入されており、継続的に努力することが求められます。
1. 成績評価の仕組み
アメリカでは、複数の評価基準 によって成績が決まります。大学や教授によって配分は異なりますが、一般的な評価基準は以下の通りです。
評価基準 | 割合(例) | 内容 |
授業参加(Class Participation) | 10〜20% | 発言の頻度・質が重要 |
小テスト(Quizzes) | 10〜20% | 定期的に実施され、復習が必要 |
中間・期末試験(Midterm & Final Exam) | 20〜40% | 一発勝負ではなく、継続的な努力が求められる |
レポート・エッセイ(Papers/Essays) | 20〜30% | 論理的な文章力が評価される |
プレゼンテーション(Presentations) | 10〜20% | 内容・話し方・資料の質が重要 |
グループワーク(Group Projects) | 10〜20% | チームワークが求められる |
2. GPA(Grade Point Average)制度とは?
GPAは、各科目の成績を数値化し、平均点を算出する制度 です。アメリカの大学では、4.0スケールが一般的です。
成績(Grade) | ポイント(GPA) | 評価の目安 |
A | 4.0 | 優秀(90〜100点) |
B | 3.0 | 良(80〜89点) |
C | 2.0 | 可(70〜79点) |
D | 1.0 | 不可(60〜69点) |
F | 0.0 | 落第(60点未満) |
留学生が高評価を得るためには、授業に積極的に参加する、小テスト対策をしっかりする、オフィスアワーで教授に質問をするなどが挙げられます。
日本ではお昼ご飯などを教室で食べるのが一般的ですが、アメリカの学校では基本的にカフェテリアで食べます。お昼ご飯には、カフェテリアで提供されるランチを購入したものや、お弁当が食べられます。日本では考えられませんが、学校のランチにはピザやハンバーガーなどが提供されることもあります。また、学校によってはバイキング形式のランチもあります。
アメリカの学校は、日本とは違い私服での登校がほとんどです。日本のように、制服を着用することが義務になっている学校は少ないといわれています。
しかし、私服にもいくつか規則があります。人種を差別する文が入っているものや肌の露出が高いものも禁止などです。規則になくても、学校の人の判断で注意されることもあります。
また、ストリートギャングに間違えられて犯罪に巻き込まれるのを防ぐために、ストリートギャングと誤解されるようなラフな服装も禁止されています。
アメリカには、法律や言語以外にも日本とは違うアメリカ文化があります。この章では、アメリカ文化との違いについてご紹介していきます。
アメリカでは家のなかであっても、靴を脱ぐ習慣が基本的にありません。靴を玄関先で脱がないため、アメリカの家では玄関が内開きのケースが多いです。しかし、近年では靴を脱ぐ家庭も増えてきているようです。ホームステイなどをする際は、靴を脱ぐ家庭かどうか確認しておきましょう。
アメリカではワンプレートで提供され、好きな順に食べるのが一般的ですが、日本ではご飯・汁物・おかずが別々に提供され、食べる順番にもマナーがあります。食器の使い方も異なり、アメリカではナイフ・フォークを使用し、ハンバーガーやピザは手で食べることも多く、食後はナイフとフォークを揃えて置くのがマナーです。一方で、日本では基本的に箸を使用し、手づかみは避けるなどの違いがあります。
食事スタイルも異なり、アメリカでは朝はシリアル・トースト、昼はサンドイッチ・ピザなど手軽なもの、夕食はボリュームが多めです。
また、レストランを利用する際にチップを払うことは、日本にはないアメリカの文化の1つです。チップの相場は、 利用した金額の10%~20%です。
チップの払い方には、現金の場合とカードの2種類あります。現金の場合は、手渡しやテーブルに置いたりします。カードで支払う場合は、渡されたレシートに支払うチップの額を記入します。また、店舗によっては最初からチップが料金に含まれているケースもあるようです。日本ではチップを払うことがないため、払い忘れには注意しましょう。
アメリカではスモールトーク が日常的に行われ、初対面でも気軽に話しかける文化があります。カフェやエレベーターで「How’s your day?」と尋ねるのが一般的で、会話を円滑にする重要な要素 です。一方、日本では見知らぬ人と会話することは少なく、会話のきっかけが限定的です。
また、パーソナルスペースの概念 も異なり、アメリカでは対話中の距離が日本よりも近め ですが、親しくない相手に過度に近づくのはNGとされています。
アメリカでは、スモールトークが人間関係を築く重要な要素です。日本人にとっては不慣れな文化ですが、いくつかのポイントを押さえれば自然に会話ができるようになります。
その日の天気やスポーツの話題、週末の予定など話しやすい話題をトークテーマに選びましょう。反対に、宗教・政治・収入・体型などのデリケートな話題やプライバシーに関わる話題は避けましょう。
会話を続けるためには、お互いの共通点を見つけ会話を深堀るように意識をしましょう。
アメリカでも、コミュニケーションの1つとしてジェスチャーが使われています。しかし、アメリカと日本では、同じジェスチャーでも意味が違うものもあるためアメリカで使う際には注意が必要です。
例をあげると、日本で人を呼ぶ際のジェスチャーは手の平を下にして手招きします。しかし、アメリカでは「こっちに来るな」という意味になってしまい大変失礼です。こちらに来てほしいときは、手のひらを上にして手招きしましょう。
また、人差し指だけで「こっちに来て」のジェスチャーをすると、「かかってこい」と挑発していると受け取られてしまうため注意しましょう。
ほかにも、日本で自分のことを指すときは人差し指で顔の辺りを指すことが多いと思います。しかし、アメリカではこのジェスチャーは伝わりません。自分のことを指す場合は、胸に手のひらを当てましょう。
アメリカの支払いは、基本的にクレジットカードが使われています。クレジットカードの支払い履歴は信用力に直結するともいわれている影響もあり、クレジットカード払いが広く普及しています。お店によっては支払いがクレジットカードでない場合は、金額が上乗せされることもあるため注意しましょう。
アメリカではホームパーティーが一般的で、友人や同僚との社交の場として重要です。招待された際はワイン、お菓子、花などの手土産を持参し、時間厳守を心がけましょう。服装はドレスコードを事前に確認し、到着時には「Thank you for inviting me!」とホストに感謝を伝えましょう。
パーティー中は積極的に会話に参加し、スモールトークを活用(「How do you know the host?」など)。食べ物や飲み物をシェアし、ゲームやダンスを楽しむことも大切です。帰る際は長居しすぎず、ホストに直接お礼を言いましょう。後日メッセージで感謝を伝えると好印象です。リラックスしつつ、社交の場を楽しみましょう!
アメリカでは、日本のような年功序列や役職による上下関係よりも、個人のリーダーシップや成果が重視されます。若手であっても積極的に意見を述べることが歓迎され、発言しないと「関心がない」と思われてしまうことも。
上司と部下の関係もフラットで、ファーストネームで呼び合うのが一般的です。
会議やプロジェクトの場では、自分の考えを論理的に伝え、成果を強調する姿勢が評価につながります。謙虚さが美徳とされる日本とは異なり、アメリカでは自信を持ってアピールすることが重要です。
アメリカはアメリカでは「 At-will employment(雇用意志の州)」という制度のもと、「雇用自由の原則」があり、企業は 労働者を自由に雇用・解雇できる「アットウィル雇用」が一般的です。一方、日本は 「終身雇用制度」が根強く、解雇が制限される傾向にあります。
アメリカの会議は、短時間で結論を出すことを目的に進められます。事前にアジェンダが共有され、参加者は事前準備を求められるのが一般的です。発言する際は、「結論→理由→具体例」の順に話すことで、簡潔で分かりやすいプレゼンができます。異論が出ることも多いですが、建設的な議論として歓迎されるため、自分の意見をしっかり伝えることが大切です。
日本では初対面の場合、必ず行われる名刺交換はアメリカではあまり根付いておらず、LinkedInやメールでのコンタクトが主流となっています。
また、アメリカでは、日本のような一括採用はなく、個別採用が基本です。特にインターンシップが重要視され、企業は実務経験のある人材を優先的に採用します。面接では、「Why should we hire you?(なぜあなたを採用すべきか?)」という質問に対して、スキルや経験を具体的にアピールできるかが合否を左右します。さらに、ネットワーキングイベントに積極的に参加し、業界内の人脈を築くことも重要です。アメリカの職場で活躍するためには、自ら積極的に動き、成果をアピールする姿勢が必要となるでしょう。
アメリカ留学を成功させるためには、文化や生活習慣、語学力、実践的なスキルを事前に準備することが大切です。
まず、日常生活ではスモールトークの習慣を身につけ、天気やスポーツなどの話題で会話を広げることが求められます。
また、レストランでのチップの習慣やホームパーティーのマナー、寮生活でのルールなど、日本とは異なる文化を理解しておくことが重要です。
学業面では、ディスカッションでの発言方法やGPA制度の仕組みを学び、アメリカ流の積極的な授業参加に慣れておくと良いでしょう。英語力の向上も不可欠で、自己紹介の練習やリスニング力の強化、英語でのメールのやり取りを経験しておくことが役立ちます。
さらに、クレジットカードの準備やスマホの通信プランの確認、履修登録の方法を学ぶことで、現地での生活がスムーズになります。精神面では、カルチャーショックを想定し、積極的に行動する意識を持つことが適応の鍵となります。事前に書籍や映画、ニュースサイトを活用してアメリカ文化を学び、充実した留学生活に備えましょう。
Q&AまとめQ&A
日本の26倍の国土を誇るアメリカは、北はアラスカ、南はフロリダやハワイの50の州で形成されており、 それぞれの地域で文化や気候が全く異なることが特徴。 「人種のるつぼ」とよばれているように、各国の人々が様々な想いや背景を持って集まります。 様々な分野で最先端を走るアメリカには、ビジネスチャンスも広がっており、語学留学だけでない様々な滞在スタイルが可能です。 アメリカ留学では、 日本とは180度異なる文化・価値観・多様性を尊重する精神に触れ、 英語を学ぶだけにとどまらない人間的成長や経験ができるのではないでしょうか。