
消費税や所得税、自動車税など日本にも税金の種類は多くあります。日本でも戸惑ってしまう税金ですが、オーストラリアの税金はどのような制度になっているかご存じでしょうか。
このコラムでは、留学やワーキングホリデーでオーストラリアに滞在したときに、日本人でも大きく関わる消費税と所得税について詳しくご紹介します。オーストラリアの確定申告の方法も紹介していますので、オーストラリアに行きたいと考えている方はぜひ読んでみてください。
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オーストラリアでかかる消費税(GST)は10パーセントです。しかし、これがすべての品にかかってくるわけではありません。オーストラリアでは低所得者に配慮して、生活に直結するような品物や公共料金などには税金がかからない仕組みとなっています。
税金がかからないものとして代表的なのは、加工されていない食料品や医療費です。また、水道料金や教育費にも消費税はかかりません。
では、どんなものに税金がかかってくるのかというと、レストランなどでの外食費や、加工食品、飲料などになります。
少し分かりにくいのは、食料品と言っても菓子パンや冷凍食品など、加工した食品は税金の対象となることです。
留学やワーキングホリデーでオーストラリアを訪れる方は、ぜひこのことを頭に入れて買い物をするようにしてください。
オーストラリアでは、学生ビザでも一定時間までなら就労が可能です。就労時間の上限は2023年7月から2週間で48時間(学期中)となり、休暇期間中は制限がありません。以前は「週20時間まで」でしたが、現在は2週間単位で計算します。
もちろん日本と同じように、働けば給料から所得税が徴収されているのですが、オーストラリアでは税金はどのくらい徴収されているのでしょうか。
オーストラリアの所得税は、大きく3つの税率表に分かれています。ワーキングホリデービザ(サブクラス417・462)の方には専用の税率表があり、これは税法上の居住者・非居住者の区分にかかわらず適用されます。
| 課税所得 | 税額 |
|---|---|
| 0〜45,000豪ドル | 1豪ドルにつき15セント |
| 45,001〜135,000豪ドル | 6,750豪ドル+45,000豪ドル超過分の30% |
| 135,001〜190,000豪ドル | 33,750豪ドル+135,000豪ドル超過分の37% |
| 190,001豪ドル以上 | 54,100豪ドル+190,000豪ドル超過分の45% |
15%が適用されるのは、雇用主が「ワーキングホリデーメーカーを雇用する事業者」としてATOに登録している場合です。登録していない雇用主のもとでは、非居住者の税率(1ドル目から30%)で源泉徴収されます。
| 課税所得 | 税額 |
|---|---|
| 0〜18,200豪ドル | 非課税 |
| 18,201〜45,000豪ドル | 18,200豪ドル超過分の16% |
| 45,001〜135,000豪ドル | 4,288豪ドル+45,000豪ドル超過分の30% |
| 135,001〜190,000豪ドル | 31,288豪ドル+135,000豪ドル超過分の37% |
| 190,001豪ドル以上 | 51,638豪ドル+190,000豪ドル超過分の45% |
2024年7月1日の税制改正で、19%は16%に、32.5%は30%に変更されました。19%や32.5%と書かれている情報は改正前のものです。
| 課税所得 | 税額 |
|---|---|
| 0〜135,000豪ドル | 1豪ドルにつき30セント |
| 135,001〜190,000豪ドル | 40,500豪ドル+135,000豪ドル超過分の37% |
| 190,001豪ドル以上 | 60,850豪ドル+190,000豪ドル超過分の45% |
以前このコラムでは「27週間以上の学生ビザは居住者」と書いていましたが、税法上の居住者かどうかは在籍期間で機械的に決まるものではありません。ATOは「居住実態(resides test)」で判断しており、滞在の目的、住居の契約、生活の拠点がどこにあるかなどを総合的に見ます。
目安としては、6か月以上のコースに在籍し、同じ場所に生活の拠点を置いている学生ビザの方は居住者と判断されることが多い、という程度に考えてください。居住者と判断されれば18,200豪ドルの非課税枠が使えるため、手取りに与える影響は大きい部分です。
なお、ワーキングホリデービザの方は、どちらに判定されても上記のワーホリ税率表が適用されます。居住区分が影響するのはメディケア・レビー(2%)の扱いのほうです。
オーストラリアで働いて源泉徴収された方は、年に一度「タックスリターン」という、日本の確定申告のような手続きをします。
・会計年度は7月1日〜翌年6月30日
・申告の受付開始は7月1日
・申告期限は10月31日
・10月31日までに登録税理士(Registered Tax Agent)に依頼していれば、翌年5月15日まで延長されます
6月30日は年度末であって、申告期限ではありません。ここを取り違えて「6月30日までに申告」と書いている日本語サイトが多いのですが、その時期にはまだ申告自体ができません。
以前は雇用主から紙の「ペイメントサマリー(PAYG Payment Summary)」を受け取っていましたが、現在はシングルタッチペイロールという仕組みに変わり、myGovのATOアカウント上で確認する形になりました。雇用主は7月14日までに確定処理を行います。小規模な雇用主の場合のみ、従来どおり書面で渡されることがあります。
オーストラリア国税局が発行する納税者番号です。オーストラリアに入国してからオンラインで申請します。入国前には申請できません。
TFNがないと働けないわけではありませんが、提出しないと源泉徴収の税率が上がります。ワーキングホリデーの方の場合は45%です(居住者は45%+メディケア・レビー2%で47%)。就業開始から28日以内に提出すれば、この高い税率は適用されません。
還付金があった場合に受け取る口座が必要となります。
オーストラリアでは利息で増えた分も課税の対象となります。金額はインターネットバンキングで確認できます。
このほか、仕事に関連した支出(制服、仕事用の道具、業務に必要な資格講習など)は必要経費として申告できる場合がありますので、領収書は保管しておいてください。
税法上の居住者は、所得税に加えてメディケア・レビー(2%)がかかります。ただし、メディケアの対象外である方(多くの学生ビザ保持者など)は、この2%の免除を申請できます。
免除にはServices Australiaが発行する「Medicare Entitlement Statement」が必要で、自動では適用されません。申請から発行まで数週間かかるため、早めに手続きしてください。なお、税法上の非居住者の方はそもそもレビーの対象外なので、この書類は不要です。
申告は、myGovを使ってオンラインで自分で行う方法(無料)と、登録税理士に依頼する方法(有料)があります。
雇用先が一つで、経費の申告もなく、英語での手続きに不安がなければ、myGovから自分で申告するのが早くて確実です。
一方で、雇用先が複数ある、TFNを提出する前に働いていた期間があって高い税率で引かれている、メディケア・レビーの免除を申請したい、年度の途中で帰国する、すでに帰国していてmyGovにログインできない、といった場合は、手続きが一気に煩雑になります。こうしたケースでは、無理に自分で対応しようとせず、登録税理士に相談することをおすすめします。
オーストラリアの税金についてお話ししてきましたが、次は帰国時に受け取れるお金についてご説明します。
オーストラリアでは、雇用主が従業員の年金口座に積み立てを行う制度があり、これをスーパーアニュエーションと呼んでいます。
この積立金は給料から差し引かれるものではなく、給料とは別に雇用主が上乗せして支払うものです。ここを誤解している方が多いのですが、あなたの手取りが減るわけではありません。
・拠出率は給与の12%(2025年7月1日から)。9.5%や11%と書かれている情報は改正前のものです
・月450豪ドル以上という最低ラインは2022年7月1日に撤廃されました。現在は1ドル目から対象です
・年齢の上限(70歳)も撤廃されています。18歳未満の場合は週30時間以上の勤務が条件です
・2026年7月1日から、給与の支払いごとに拠出し、7営業日以内にファンドへ入金することが義務化されました。以前は四半期ごとでした
最後の点は読者にとって実利があります。以前は雇用主が3か月分をまとめて支払っていたため、未払いに気づくのが数か月後になりがちでした。現在は数週間で分かるので、まだ同じ職場にいるうちに確認できます。
ワーキングホリデーや学生ビザの方は、帰国時にこの積立金を受け取ることができます。これをDASP(Departing Australia Superannuation Payment)といいます。
ただし、全額が戻るわけではありません。
| 保有していたビザ | 源泉徴収される税率 |
|---|---|
| 学生ビザ、就労ビザなど | 課税済み部分に35%、未課税部分に45% |
| ワーキングホリデー(417・462) | 65% |
残高が3,000豪ドルの場合、ワーキングホリデーの方の手取りはおよそ1,050豪ドルです。
ここで注意していただきたいのは、過去に一度でも417・462を保有していた方は、その後学生ビザなどに切り替えていても、全額が65%で課税されるという点です。現在のビザではなく、ビザの履歴で判定されます。
申請できるのは、次の両方を満たした場合です。
1. オーストラリアを出国していること
2. 保有していたビザが失効している、またはキャンセルされていること
「1か月以内に帰国予定の方」は条件ではありません。出国前に申請を準備しておくことはできますが、支払いが行われるのは上記2つを満たしてからです。
申請期限はありません。ビザ失効から6か月経つと残高はATOに移管されますが、その後も請求は可能です。「5年以内」という記載を見かけることがありますが、そのような期限は存在しません。
手続きはATOのウェブサイトからオンラインで行えます。複数の職場で働いた方は、雇用主ごとに別々のファンドが作られている場合があります。申請前に一つのファンドにまとめておくと、手続きが一度で済み、口座管理手数料も抑えられます。
日用品には税金がかからないなど、少しややこしい消費税や、働く際には必ず関わってくる所得税のことなど、オーストラリアの税金についてご紹介してきましたが、ご理解いただけましたでしょうか。
覚えておいていただきたいのは、次の3点です。
・ワーキングホリデーの税率は45,000豪ドルまで15%。雇用主の登録が条件です
・申告期限は10月31日。6月30日は年度末であって期限ではありません
・スーパーアニュエーションは給与とは別に12%が積み立てられ、帰国時の受け取りでは65%(ワーホリの場合)が引かれます
タックスリターンとスーパーアニュエーションは別々の手続きです。どちらも申請しなければ受け取れませんので、帰国の準備をする際は忘れずに確認してください。
面倒に感じてしまう部分も多いかもしれませんが、税金の手続きも留学での経験のひとつです。前向きに手続きをおこなってくださいね。
オーストラリア留学は、海外渡航経験の少ない方にも自信を持っておすすめできます。 気さくでフレンドリーな人柄が魅力のオーストラリアは、多文化・多民族国家であるゆえ、外から来た人も馴染みやすく、何度も訪れたくなる心地よさがあります。 他の国に比べて留学生に対する制度が充実していて、国を挙げて手厚くサポートする体制が出来上がっているため、不安が多い海外生活も安心して送ることができるでしょう。 期間や渡航スタイルの選択肢が広く、短期留学やワーキングホリデーなど自分に合った形を選ぶことができるのもオーストラリア留学の大きなメリットです。