学校選びや入学手続きも終わり、いざ現地へ向かうことになったとき、気になるのが留学先で必要になる持ち物です。
荷物が多すぎると持ち運ぶのが大変ですが、何もかも現地調達しようとすると、生活のさまざまなシーンで不便に感じることが多くなります。日本で当り前のように売っていたものが、現地でも簡単に手に入るとは限りません。1カ月程度の短期留学なら多少の不便は我慢できても、長期滞在になると留学生活を続けていく意欲や勉強に対するやる気までそがれてしまうおそれがあります。そこで、留学する際に必要なものや持って行くと便利なもの、持ち込めないものなど、荷作りの際に知っておくと便利な情報を紹介します。
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長期留学の場合、長く滞在するぶん衣類や日用品など、留学先で生活するのに困らないだけ持って行かなければと考えがちです。しかし、実際に留学してみると、滞在期間が長ければ長いほど、現地で購入するものも増え、持ち物が多くなってしまいます。そのため、入国した時点で大量に物を持ちこんでしまうと、移動が大変なだけでなく現地でホームステイ先からアパートやシェアルームに移る際も、引っ越しに手間取ってしまいます。
留学当初は土地勘もなければ、現地に知り合いもいない人がほとんどです。そのような状態で、初日から住む場所を自分で探して契約できる人は限られています。多くの人はホームステイや語学学校の寮に入ることを選択するでしょう。しかし、留学期間中、ずっと同じホストファミリーや寮で生活するとは限りません。特に長期留学の場合は、通学やアルバイトに都合の良い場所にアパートや一軒家を借りて、現地で知り合った友人とシェアするのが一般的です。しかし、いざ引っ越しをするとなると、日本のように引っ越し業者に依頼したり、友人に車を借りたりするのは難しいです。渡航時に持ち込んだ荷物と、現地で生活を始めてから増えた荷物も含めると、一度ですべての荷物を運び出せるとは限りません。
滞在する期間にかかわらず、出発時は必要最低限の物だけを持ち、現地で調達できるものはなるべく現地で購入しましょう。日本で買ったほうが安く手に入るものもありますが、生活するためには「どんな物がいくらで買えるのか」を早めに知っておかなければいけません。さらに、買い物を通じて現地の人とコミュニケーションをとることで、英語の上達にもつながります。
留学時に絶対に忘れてはいけないのが、入国審査に必要な書類です。パスポートやビザ発給通知書、航空券は、出発前に最低でも2回は確認してください。滞在中に期限切れにならないよう、パスポートの有効期限は必ず把握しておきましょう。万が一なくしてしまったときにも対応できるよう、ナンバーを控えておくと安心です。入国審査の際に入学許可証や滞在先の通知書、英語力を証明する資格の提示を求められる場合もあるので、コピーをとってパスポートや航空券と一緒に携帯しましょう。
また、短期の滞在であっても、ケガや病気に備えて保険に加入しておくことは重要です。海外では日本の健康保険は適用されないため、治療費を実費で支払う必要があります。場合によっては数十万円から数百万円かかることも珍しくありません。治療費が払えなくて帰国したり、学校やホストファミリーに迷惑をかけたりすることがないよう、保険には必ず加入しておきましょう。海外留学保険証書を紛失してしまった場合に備えて、コピーをとっておくのも忘れないでください。
留学する国や地域によっては、バスや電車の本数が少なく、車が主な交通手段になる場合があります。現地で車を運転する予定のある人は、国際運転免許証と日本の免許証も持って行きましょう。こちらもパスポートと同様、滞在中に期限が切れることのないよう、有効期限を確認しておきます。国際免許証は身分証明書にもなるので、運転する予定がなくても所持しておくといざというときに便利です。
現金は留学初日から必要になる場合もあります。現地で換金する手間が省けるよう、あらかじめ2万円程度の外貨を持っていきましょう。現地の通貨と日本円は、別々の財布に分けて入れておくと便利です。ただし、あまり多くの現金を持ち歩くと、スリや置き引きなどの犯罪に巻き込まれるおそれもあり危険です。所持金は常に最低限にとどめておき、必要な分だけ銀行やATMから引き出しましょう。海外でも引き落とせるキャッシュカードがあれば、日本の口座から現地の通貨を引き出せます。
海外にはキャッシュレス化が進んでいる国もあるので、クレジットカードを1枚用意しておくと便利です。クレジットカードがあればスマートに支払いができるだけでなく、海外では身分証の代わりにもなります。ただし、使える場所が限られているカードもあるので、留学先で使えるかきちんと下調べをしたうえで契約しましょう。
携帯電話やノートパソコン、タブレットは、日本にいる家族や友人と連絡をとったり、調べ物をしたりする際に便利です。現地の製品は日本語のフォントが入っていないものもあり、取扱説明書や表示される言語もすべて英語です。英語に自信のない人や、現地の製品を使いこなす自信のない人は、日本から持って行ったほうが無難でしょう。
ただし、ネットで調べ物をしたり、電話をかけたりするためには、インターネットに接続できる環境が必要です。入居しているアパートやホストファミリーにネット環境が備わっているのであれば問題ありません。しかし、そうではない場合は海外でも使えるWi-Fiルーターをレンタルしておくと良いでしょう。Wi-Fiルーターがあれば室内だけでなく、屋外でもノートパソコンやタブレットが使用できます。
衣類は現地でも調達できますが、海外の洋服は一般的に日本よりもサイズが大きく、すぐに自分の体に合うものが見つかるとは限りません。特にホームステイの場合は、日本のように毎日洗濯するとは限りません。家庭によって異なりますが、1週間に1回程度しか洗濯しない場合もあります。洋服や下着、ストッキングや靴下は、1週間着回せるくらいの量があると安心です。パジャマや部屋着は初日から必要になるので、荷作りの際に取り出しやすい位置に入れておきましょう。
日射しの強い地域に行く場合や、夏場に渡航する場合は、サングラスや帽子も必需品です。現地調達でも問題ありませんが、やはりサイズは日本よりも大きいので、紫外線が強い国では愛用しているものを持って行くと便利です。水着は海やプール以外にも、温泉に入るときに必要になる場合もあります。特に女性ものはパッドが入っていないものが多いので、着慣れている水着を持って行ったほうが良いでしょう。
冬場に渡航する場合は、ウインドブレーカーなどの防寒具があると便利です。天気が変わりやすい地域や寒暖差の激しい地域もあるので、はっ水加工が施されたウインドブレーカーやフード付きのパーカーなど、気候に合わせて調節できる洋服を持って行きましょう。また、海外の洗濯機は服を傷めやすいものが多く、デリケートな素材でできた服や色落ちしやすい服は、すぐに着られなくなってしまうおそれがあります。なるべく傷みにくく、丈夫な素材でできた洋服を選びましょう。
スーツやワンピースなどのフォーマルな服を一着持っておくと、式典やパーティーなどの場面で重宝します。現地で調達する予定なら持参する必要はありませんが、合うサイズが見つかるか心配な人は、日本から持って行ったほうが無難です。
日用品は現地でも購入できます。しかし、日本製よりも品質が劣っていたり、高価だったりするものがほとんどです。筆記用具や歯ブラシなどのこまごました消耗品は、かさばらない程度に持って行きましょう。特に海外の歯ブラシはヘッドが大きいものが多く、女性や口の小さい人にとっては使いにくいです。留学期間中に必要な分だけ持ち込むと良いでしょう。
シャンプーや石鹸などの洗面用具は、ホームステイであっても自分で使うものは自分で用意する必要があります。しかし、留学先での生活に慣れないうちは、現地で買い物をする際にも手間取るでしょう。「どの商品が自分の肌に合っているか」を見極めるにも、ある程度の時間がかかります。最初の1週間分程度は持参したほうが安心です。
女性の場合は生理用品も、使い慣れた日本製のものを持って行きましょう。現地の生理用品は日本製よりも質が悪く、肌がデリケートな人は荒れてしまうこともあります。運よく現地で日本製の生理用品を見つけても、日本で買うより割高です。敏感肌の人は、化粧品も自分の肌に合ったものを持参しましょう。海外の水質は日本とは異なり、硬水の地域がほとんどです。硬水は軟水よりも乾燥しやすいので、なるべく保湿力の高い化粧品を持って行きましょう。日本の化粧品は海外よりも安く、高品質のものが多い傾向です。荷物になるのが気になる場合は、トラベルサイズの化粧品など当分使えるだけの量を持参し、なくなる前に現地で使いやすい商品を探しましょう。
紫外線の強い地域では、日焼け止めも必須です。現地調達も可能ですが、夏場に渡航した場合は初日からすぐに必要になる可能性もあるので、携帯できるサイズのものを用意しておきましょう。ただし、化粧品も日焼け止めも、120mlを超える液体状のものは、スーツケースへ入れる必要があります。手荷物として持ち歩きたい場合は、携帯用の容器に移し替えましょう。
海外の医薬品は日本の薬と成分が違ったり、同じ薬でも日本とは違う名前で販売されていたりすることがあります。また、日本とは認可基準が異なるため、日本では処方薬とされている薬が市販薬として売られていることもあり、知らずに飲んでしまうと思わぬ副作用を起こすおそれがあります。さらに、海外の錠剤やカプセルは日本製のものより粒が大きく、飲みにくいことも多い傾向です。体調を崩してからでは薬を買いに行けない可能性もあるので、飲みなれている薬は日本から持参しましょう。
海外は日本とは食べ物が違ううえ、慣れない環境で暮らすストレスで体調を崩す可能性も高いです。頭痛や腹痛、生理痛などに備えて、下痢止めや胃腸薬、便秘薬、鎮静剤は最低限持っていると安心です。ただし、日本の風邪薬は現地の風邪に効かないこともあるので注意してください。
切り傷など小さなケガをしたときのために、少量の傷薬やバンドエイド持って行きましょう。日本製のバンドエイドは海外製のものよりも高品質で、いざというときに重宝します。亜熱帯気候の地域や虫の多い地域に留学する場合は、虫刺されも必須です。現地調達もできますが、中には非常に強い薬もあるので、トラブルが心配な人は日本製のものを持って行ったほうが無難です。
持病のある人が1カ月以上留学する場合は、主治医に説明すれば留学期間中に必要な量の薬を用意してもらえます。ただし、現地で薬を処方してもらう場合は、英語の処方せんや説明書が必要です。現地の病院に通院する予定のある人は、日本の主治医に診断書や紹介状、処方せんなど必要な書類を作成してもらいましょう。なお、大量の医薬品を渡航時に持ち込む場合、入国審査時に薬の内容を聞かれることがあります。スムーズに説明できるよう、英文の診断書や薬剤証明書を用意しておきましょう。
必需品ではないものの、余裕があれば持って行くと便利なものもあります。ホームステイの場合は、ホストファミリーへのおみやげを買って行くと良いでしょう。高価なものを買う必要はないので、100円ショップの便利グッズや文房具、和小物など、日本でしか手に入らないものなら、ホストファミリーとの話題作りにも役立ちます。ただし、おはしと扇子は日本のおみやげの定番なので、すでに過去の留学生からもらっている可能性が高いです。また、国によっては食べ物やお酒の持ち込みは禁止されている場合があります。タバコや植物も持ちこめないことが多いので、おみやげにするのは避けましょう。
自分で使うもので特に便利なのは、ティッシュや除菌ティッシュです。日本ならポケットティッシュは無料で手に入る機会も多いですが、海外ではスーパーなどで買わなければならないうえ、値段も高いです。紙質もそれほど良いとはいえないので、できるだけ日本から持参したほうが良いでしょう。また、国によってはお店のテーブルや椅子が汚れていたり、不衛生な場所が多かったりすることがあります。そのようなときにさっと拭けるよう、除菌ティッシュを携帯しておくと便利です。
ホームステイ先やシェアハウスで役に立つのが洗濯ネットです。洗濯ネットに入れておけば、自分の洗濯物と他の人の洗濯物が混ざることもなく、洗濯物が痛むのを防ぐこともできます。洗濯ネットは100円ショップなどで安価で手に入り、小さくたためるので荷物になりません。寒い地域に行く場合は、ポケットカイロがあると便利です。現地で購入しようとしても、まず手に入ることはありません。洋服に貼り付けるタイプや靴の中に入れるタイプのものなど、必要に応じて持って行きましょう。
現地で旅行や観光がしやすいよう、小旅行用のカバンも用意しておくと良いでしょう。外出するたびにスーツケースを使うのでは荷物がかさばるし、移動の邪魔になってしまいます。現地での移動手段として自転車を使う場合は、リュックサックなど両手が自由になるタイプのバッグが便利です。ただし、リュックの中にパスポートや財布などの貴重品を入れるのは危険です。スリに目をつけられることもあるので、絶対に避けましょう。
日本と海外では電圧が異なるため、日本から持ち込んだ電気製品を使う場合は、コンセント変換プラグが必要です。コンセントの形は国によって違うので、購入前に留学先のプラグタイプを確認しましょう。カナダやアメリカはAタイプ、イギリスやアイルランドはBFタイプ、オーストラリア、ニュージーランドはOタイプです。また、日本の電化製品にも、海外での使用に対応しているものと対応していないものがあります。留学先に持って行く予定であれば、海外使用に対応している製品を選びましょう。対応していない商品を無理に使うと、故障や発火の原因になってしまいます。
ホームステイの場合は、ドライヤーなどの電気製品はすでに用意されている場合もありますが、絶対にあるとは限りません。初日から必要な人は、日本から持って行ったほうが良いでしょう。国によっては家電量販店やドラッグストアで安く買えるので、荷物を増やしたくないという人や当分なくても困らないという人は、現地で購入するという方法もあります。
言葉の意味を調べたり、レポートを書いたりする際に、電子辞書は欠かせません。スマートフォンやタブレットを持っていればアプリで代用できますが、バッテリーを節約したい人は電子辞書も持って行くと便利です。旅行先や観光地の風景をしっかりと写真に納めたい人は、デジカメも持って行きましょう。スマートフォンでも写真は撮れますが、たくさん撮るとバッテリーを消耗してしまいます。いざというときに連絡をとれるよう、旅先ではバッテリーの残量に気をつけましょう。カメラ本体だけでなくレンズやメモリーカードなどの備品も、現地よりも日本で買ったほうが安く手に入ります。スマートフォンやノートパソコン、デジカメの充電器も忘れずに持って行きましょう。
常備薬や化粧品など、日本から持って行ったほうが良いものもありますが、現地で調達したほうが安く手に入るものや、持って行っても海外では役に立たないものもあります。代表的なものが食べ物です。梅干しや醤油、味噌などの日本食は、海外で取り扱っている場所は限られています。販売されていたとしても日本より高価なので、日本食が恋しくなったときのために持って行ったほうが良いでしょう。しかし、日本食以外の食べ物は現地で購入したほうが安上がりです。荷物も増えてしまうので、持ち込む食品は必要最低限の日本食にとどめておきましょう。
現地でシェアハウスに入ったり、ルームシェアをしたりする予定の人は、洗濯用の洗剤が必要です。しかし、日本の洗剤を海外で使うと、汚れがしっかり落ちなかったり、うまく泡立たなかったりします。原因は、日本と海外の水質の違いにあります。日本の水道水や飲料水はほとんどが軟水であるのに対し、海外では料理や洗濯に使う水も硬水が一般的です。そのため、軟水で洗うことを前提とした日本の洗濯洗剤は、硬水地域の多い海外での使用には適していません。洗濯洗剤は現地の水質に合ったものを手に入れるためにも、留学先のドラッグストアやスーパーで購入しましょう。また、水の硬度が高い地域では洗濯洗剤のほかにも、洗濯機のパイプやフィルターに石灰が詰まるのを防ぐための石灰中和剤や、柔軟剤が必要な場合もあります。
日本から持参した携帯電話を留学先で使う場合、現地で購入したSIMカードを装着しなければ使用できません。渡航前にあらかじめ日本でSIMロックを解除するか、SIMフリーの携帯電話を購入しましょう。
初めての留学は不安な点も多く、思いつくものは何でも持って行きたくなってしまうものです。しかし、荷物が多すぎると、現地に着いたあとの移動が大変になってしまいます。出発するときは必要最低限の荷物だけを持ち、持って行くべきか迷うものは、思いきって置いて行きましょう。どうしても足りないものがあれば、日本から国際便で荷物を送ってもらったほうがスムーズです。
海外でも都市部に出れば、日本食を置いているスーパーや雑貨店があります。海外に進出している日系ブランドの店もあるので、必要なものは現地で買い足しましょう。あえて日本では見かけないブランドの商品を買ってみたり、現地で流行っているファッションに挑戦したりするのも留学の醍醐味です。
また、荷作りの際に現地に持ち込めないものや、飛行機の搭乗時に預けられる荷物の重さもチェックしておきましょう。国によって持ちこめないものには違いがありますが、生き物や植物、お酒、タバコ、スプレーや刃物などの危険物は基本的に持ち込みが禁じられています。食品は税関で申告すれば持ち込める場合もあるので、忘れずに申し出ましょう。申告を忘れてしまうと、スーツケースを開けて中身を検査されることもあります。なお、アメリカでは原則として、スーツケースに鍵をかけてはいけません。検査をすることになった場合に鍵がかかっていると、鍵を壊して荷物を開けられることがあります。中身に異常がなかったとしても、修理費用などの保証はないので注意しましょう。
預けられる荷物の重量や個数は、航空会社によって異なります。スーツケースだけでなく、機内に持ち込める荷物にも規定があるので、手荷物の詰め込みすぎに注意してください。身軽に動けるよう、荷物は多くても20kg前後のスーツケース1個、手荷物用のバッグ1個までにとどめましょう。
留学時の持ち物は少なすぎても不安ですが、多すぎても不便です。慣れない長旅のあと、両手いっぱいに重い荷物を抱えて動き回るのは非常に疲れます。短期留学でも長期留学でも、最低限ないと困る持ち物をチェックしながら荷作りを行い、すぐに使う必要のないものは置いて行きましょう。たとえば、夏に渡航するのであれば、冬物の衣類はあとから送ってもらえば十分に間に合います。荷物を持ち込みすぎて超過料金を支払うよりも、船便で郵送してもらったほうが出費も少なく済みます。
都市部から離れた地域に留学する場合は、日本食や日本製の商品を取り扱っている店が少なく、不便に感じることもあるでしょう。しかし、インターネットの通信販売を利用すれば、居住地域に関係なく必要なものをすぐに取りよせることもできます。日本の製品だけでなく、その土地にしか売っていない商品を活用しながら、留学生活を満喫しましょう。