カナダでは、フランス語と英語が公用語になっています。「フランス語を話す人もいる……という程度ならまだしも、公用語になるほどフランス語が使われているの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
そこで、今回のコラムではカナダでなぜフランス語が話されているのかを徹底解説します。カナダでフランス語が話されるようになったのは、植民地支配されていた時代があったためなのです。カナダに留学や旅行を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
CONTENTS
カナダには原住民の人達もいますが、イギリスやフランスからの移民が非常に多くいるため、両国の公用語を受け入れたという歴史があります。しかし、英語もフランス語も使えるバイリンガルの方が多いというわけではなく、州によって公用語が異なっているのです。
まず、なぜイギリスやフランスから移り住んできた人が多いかというと、カナダは17世紀から18世紀にかけて、イギリスとフランスによる植民地支配があったからです。そのときカナダの国土内でイギリスとフランスが戦争し、イギリスが勝利しました。
そうして一時的にカナダはイギリスの領地になったわけですが、ケベック州などフランス移民が多かった地域にはフランス人が住み続けていたのです。
その結果、カナダではもともとイギリスが統治していた地域とフランスが統治していた地域で使用される言語が異なるようになってしまいました。そのなごりで今でも、ブリティッシュコロンビア州は英語、ケベック州はフランス語など、州ごとに公用語が異なっているのです。カナダでフランス語が公用語になったのにはこういった時代背景があります。
カナダに住むフランス系の住民は、カナダの総人口の4分の1といわれています。さらにそのうちの80%近い人たちが住んでいる「ケベック州」についてご紹介しましょう。フランスが植民地支配の中心地としたケベック州は、いまやカナダで最もフランス語が話されている州になっています。
17世紀初頭、フランスはカナダの地に関心を寄せ始め、はじめはセントローレンス湾に降り立って植民地を増やしていきました。その中心となったケベック州は、フランスからの移民だけで形成されたのです。ケベック州では今でもほとんどの事柄がフランス語を使っておこなわれており、カナダに来ているのにまるでフランスにいるかのような錯覚を起こすほどといわれています。
ケベック州にあるモントリオールという都市は観光地としても有名なため、フランス語に加え英語を使用している部分も多いです。しかし、ケベック州でモントリオール以外の土地に向かうのであれば、フランス語を話せるほうがなにかとスムーズでしょう。
2つの言語を使用している影響か、カナダのフランス語は本場フランスの言葉と異なっている部分があります。とくにケベック州のフランス語は「ケベックワ」とも呼ばれ、フランス語と区別されることがあるようです。
カナダで使われるフランス語にはいくつかの特徴があります。これは英語圏と非常に距離が近いため、言葉そのものが影響を受けて変化したからと考えられます。
主な特徴は、フランス人が話すフランス語と比べてアクセントが異なっており、日本でいう「なまり」や「方言」のようなものが生まれている点です。また、英語の影響を強く受けた言葉は、単語そのものがフランス語とはまったく違うこともあるようです。そのため本場のフランス人にはカナダのフランス語が通じないことがあります。
カナダ国内でフランス語を話す人はケベック州に多いため、ケベック州以外はほとんど英語圏といえます。しかし、そんな英語圏の地域でもフランス語をみかけることがあるのです。ここでは、フランス語が使われている事柄についてご紹介します。
カナダで流通、販売されている商品のパッケージを見ると、多くの商品ラベルが英語とフランス語の両方を使ってプリントされています。これは、たとえ英語を話す人が多い地域でも、フランス系の人が住んでいることがあるからです。フランス系の住民のアイデンティティを守るというカナダの姿勢があらわれているといえますね。
スポーツの大会や国際的な祭典のときには日本でも国歌「君が代」を流しますよね。カナダでもそれと同じように国歌を流したり、歌ったりします。
しかし、カナダの国歌には英語とフランス語の2バージョンがあるのです。英語とフランス語の国歌をそれぞれ1回ずつ、あるいは前半後半で分けて歌っています。
ご紹介してきたように、カナダでは英語とフランス語が使われています。そのため、カナダに留学するときにフランス語圏に行くと、英語とフランス語の両方が学べるでしょう。カナダでフランス語も学びたいという方は、フランス語圏の中心ケベックか、人口や語学学校が多い首都オタワに向かうのが最適です。
カナダにはワーキングホリデーを利用して滞在することができます。ワーキングホリデーで行けば現地で仕事をすることができるので、留学のための資金を現地調達が可能です。2つの言語を公用語としているがゆえの多文化、多様性は日本では経験できないものなので、興味のある方はぜひカナダに行ってみてください。
カナダにはイギリスとフランスの移民を受け入れる多様性に富んだ文化が根付いており、「世界一住みやすい国」とまで称されています。今回の記事を通じて、カナダでフランス語が使われている理由や、カナダそのものに興味を持っていただけたら幸いです。
また、カナダは観光地として有名な都市が多く、大自然が広がる大地や日本と同じような四季があるため、旅行にはうってつけでしょう。いろいろな国からの移民が多いことで、さまざまな文化や料理を楽しめるのも魅力のひとつです。
もしカナダに興味をもったら、ぜひフランス語圏と英語圏の両方に向かうことをおすすめします。はるかカナダの地で、言葉の違いから生まれる多様性を実感してみてはいかがでしょうか。
Q&AまとめQ&A
世界2番目の国土を誇る広大な大地と雄大な自然が特徴のカナダは、都市ごとに雰囲気や気候が異なり、 冬にウィンタースポーツが楽しめる都市があるなど四季折々の魅力が溢れています。 多民族国家で移民が多く協調性を大切にする温かい国民性から、異文化の様々なバックグラウンドを持つ人々が仲良く暮らす国としても有名。 留学生が受け入れられやすい環境や雰囲気があり、訛りの少ないニュートラルな英語を話すため、 英語初心者も安心して留学することができます。