観光や留学先として人気になり注目されているフィリピンの言語は、英語というイメージを持っていませんか?しかし、正確には100を超える言語がフィリピンには存在し、今も使用されている言語もあります。なぜフィリピンではそれらの言語ではなく、英語が使用されているのでしょうか?そこにはフィリピンの歴史的背景がありました。
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フィリピンはアメリカ、イギリスに次いで3番目に英語話者が多いとされています。約1億人の内9割以上が英語を使用し、フィリピンの言語は英語が中心のようにみえます。学校教育も英語が中心に行われていますが、フィリピンの公用語は「英語」と「フィリピン語(フィリピノ語)」の2言語です。
公用語であるフィリピン語は、タガログ語を基本にした言語です。タガログ語はマニラ周辺で話されている言語で、マニラが首都になったためタガログ語を基本とすることになりました。
英語はフォーマルな言語という認識があり、主に職場など公共の場で使用されています。 広告や道路標識、テレビも英語表記です。英語が話せると国内や海外で待遇の良い仕事につけるため、フィリピン人の間では英語を熱心に勉強する人が多いとされています。一方、フィリピン語など英語以外の言語は家族や友人と話すときに使われます。
マレー系民族が多いフィリピンですが、国内の各地域や7,000以上の島々には100以上の民族が存在するのです。それぞれの民族が独自のローカル言語を持つため、フィリピンには100以上もの言語が存在するといわれています。ビサヤ諸島のビサヤ語やスペイン語の影響が濃いチャバカノ語、セブで使用されたセブアノ語など、タガログ語以外にも多くの言語を確認することができます。
これらの言語は、方言とは異なり相互に意思疎通ができません。このようにフィリピンは多言語国家なので、言語による統一と、意思疎通を図ったためフィリピン語がつくり出されました。アメリカの影響から浸透していた英語も公用語として定められ、使用されています。さらに、最近はタガログ語と英語が混ざり合った、タグリッシュという言語を使用する人も増えつつあります。
大航海時代にマゼランがフィリピンへ来航し、当初はキリスト教の布教をおこないました。その後、行き過ぎた布教をおこなおうとする彼と島民の間で戦いが起きたのです。その戦いは国同士の戦いに発展し、スペインが勝利しました。そして スペインがフィリピンを統治したため、スペインの影響をフィリピンの各所で見ることができます。
1900年近くになると、戦争に勝利したアメリカがフィリピンの統治を始めました。 アメリカは植民地化の施策として英語の教育を行い、同時に多言語国家だったフィリピンは英語を共通語として使い始め、最終的にフィリピンは1946年に独立します。その後、フィリピン語がつくられました。
スペインとアメリカの統治は、フィリピンの建物や言葉へ強く影響しています。たとえば、世界遺産に登録されているビガン歴史都市は、かつてスペインの交易拠点でした。建造物はスペインの建築技術が用いられています。先述したチャバカノ語もスペイン語の影響を受けています。このように、フィリピンの言語は、フィリピンの歴史を表しているといってもよいのかもしれません。
フィリピンで使用されている英語はアメリカ英語です。英語を使う仕事で代表的なのはコールセンターの勤務です。主にアメリカ向けのサービスであり、このことからもフィリピン人の英語はアメリカで通用すると考えられます。ただ、英語圏でも問題ない程度ですが独特のなまりやルールなどは存在します。
たとえば、フィリピン特有の英語表現として敬称があります。フィリピン人は敬称を使用するのが習慣で、名前を呼ぶときは「Mr.」「Ms.」をファーストネームの前に入れるのです。本来、欧米諸国ではラストネームに敬称をつけるので、フィリピン英語独特の使い方といえます。
他にも単語の使い分けがアメリカ英語と異なり、あいまいになっているなど違いが見られます。
反対に、フィリピン人が使用していた言葉が由来の英単語も生み出されているのです。「sari-sari store」はフィリピンで見られる家族経営の小売店で、雑貨屋のようなものです。「pan de sal」はもともとスペイン語で、フィリピンでは甘みのあるパンとして食べられています。
フィリピンは欧米諸国よりも留学費用が安く、 約30万円で1ヶ月の留学が可能です。物価も安く、日本との時差は1時間程度など、過ごしやすいと言えます。観光地としても有名なため、アクティビティが充実し楽しむこともできます。
語学学校の授業もグループレッスンではなく、マンツーマンレッスンがほとんどです。1対1のため集中でき、コミュニケーションやスピーキングに力を入れて勉強ができます。なまりに関しても、普段使用している日本語の影響から、フィリピン英語の影響はそこまで受けません。
語学学校では教師の採用も英語の能力を重視し、採用条件や採用後も教育をおこなうなど力を入れています。このように、同じ英語を勉強するのであれば、費用や授業スタイルからフィリピンに留学するのもおすすめです。
フィリピン留学については下記の記事で詳しくご紹介しているので、ぜひご覧ください。
フィリピンの言語はスペインやアメリカなど、さまざまな影響を受けて変化してきました。植民地であった過去や、多言語国家が抱える悩みを解決する手段として英語やフィリピン語は使用されています。今では、フィリピン独特の英語表現や、タグリッシュといった独自の表現も生み出されています。
フィリピンの英語に触れて、なぜオリジナルの英語や表現が生み出されたのか考えるのも、面白いことかもしれません。英語など、外国語を学ぶ際にこういった背景を考え、知ることはより言語に対して親しみが湧き英語の習得につながっていくことでしょう。
Q&AまとめQ&A
大小7100以上の島々からなる東南アジアの島国フィリピンは、島ごとにも特徴が異なります。 国全体に美しいビーチリゾートが散在しており、高級リゾートから自然の美しさを生かしたトロピカルな雰囲気漂うリゾートまで様々。 フィリピンは熱帯性気候のため、1年を通して暖かく、マリンスポーツなどリゾート気分を味わえるのも魅力の一つ。 日本からも4時間の距離にありながら世界第3位の英語使用国のため、フィリピン留学では比較的気軽にリーズナブルに語学を学ぶことができます。