英語の習得や高い教育水準の大学で学ぶために、イギリスへの留学を検討している人も多いでしょう。
しかし、イギリスへの留学はその他の国へ行くよりも多くの費用がかかる場合があります。先進国であるため物価が高いのはもちろんのこと、大都市では地価も高く、家賃が驚くほど高額になる場合もあるからです。また、ヨーロッパのいくつかの国では学費がかなり低いことを考えると、それなりの学費が発生するイギリスは留学費用が多くかかる国といえます。
そこで今回は、イギリス留学の際の学費や生活費の負担を軽くするために、奨学金の基礎知識や特徴について説明していきます。
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まず、奨学金はどのような人がもらえるのでしょうか。奨学金といってもさまざまな種類があり、応募資格を持つ人も奨学金の種類によってさまざまです。
ただし、一般的には金銭的な理由により就学が難しい人を対象としていることが多いです。特にイギリスへの留学は金銭的な負担が大きくなりがちなので、どんなに留学に対して熱い思いを持っていたとしても、費用が工面できず留学をあきらめざるをえないという人も出てしまいがちです。
そのような人たちを救うためにも、イギリス留学にはたくさんの奨学金が用意されています。金銭的な理由での奨学金は貸与型が多い傾向があります。貸与型の場合借りた分は後で返さなくてはなりません。しかし、貸与型には利子ありと利子なしの2種類あり、同じ金額を借りたとしても最終的に返済するトータルの額が異なることがあります。利子ありのほうは競争率が比較的少なく、奨学金を受けられる可能性は高いです。
また、ある分野において高い功績がある人に対しても奨学金が授与されることがあります。これは政府や企業財団の奨学金に多い傾向が見てとれます。優れた人材に奨学金を与えることで人材育成に貢献するのが目的だからです。一般的にこちらの奨学金の方が獲得するのは難しく、倍率も高くなりがちです。その理由として、優れた人材に対する奨学金はたいてい給付型となっており、後に返す必要がないことが挙げられます。また、給付される額も現地で生活するには十分なものが多く、サポート体制も整っていることも多いからです。
そのため、枠が少ないにもかかわらず毎回たくさんの人が応募します。こちらの奨学金を得るためには、今までの功績をわかりやすくまとめて審査員に伝えたり、留学後何をしたいのかを明確にしたりといった作業をしていく必要があります。
イギリスの大学へ留学する場合、大きく分けると奨学金の種類は2種類になります。
ひとつ目は政府や民間が募集する奨学金です。政府奨学金には日本政府によるものとイギリス政府によるもの(英国外務省チーヴニング奨学金など)があります。チーヴニング奨学金は主に社会人を対象とした大学院へ留学する人を対象としたものです。民間が募集する奨学金には、平和中島財団やBCJA奨学金、公益財団法人 経団連国際教育交流財団など財団型のものが多くあります。
また、独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)も奨学金を提供しており、こちらには貸与型のものもあります。
一方、留学希望先の大学や大学院が募集している奨学金も存在します。こちらは留学先の大学により条件もさまざまに異なります。大学や大学院による奨学金は、成績が優秀でかつ難しい経済状況にある生徒に対して設けられていることが一般的です。かつ募集枠が少ないことが多いため、なかなか奨学金を得るのは難しいといえます。
ところで、奨学金と教育ローンはどこが違うのでしょうか。奨学金の中には貸与型で利子があるタイプのものもあるので、教育ローンと差がないと感じるかもしれません。貸与型利息ありの奨学金は一般的に利率が低く、在学期間中に利息が発生しないのが普通です。逆に、教育ローンはローンを借りた次の日から利息が発生し、利率も貸与型の奨学金に比べると10倍以上となることも珍しくありません。
このように、貸与型で返済しなければならないものであったとしても奨学金はかなりお得だとわかります。給付型の奨学金を獲得できなかったとしても留学をあきらめず、貸与型奨学金に切り替えてみてはいかがでしょうか。
また、給付型奨学金についてはこちらの記事でもご紹介しておりますので、ご利用を考えている方はぜひこちらも合わせてご覧ください。
ここではもっとくわしく奨学金の受け方について見ていきます。すでに述べたように、奨学金には給付型と貸与型の2タイプあります。給付型は返済する必要はないため、多くの学生に人気があります。加えて、給付型奨学金は学生の人気に反して枠そのものが少なく、倍率が毎回高くなる傾向にあります。
したがって、奨学金を獲得できるのは特に優秀な人に限られます。奨学金の種類によっては一生涯経歴に載せられるほどであり、奨学金が一種のステータスになることも珍しくありません。
一方、貸与型は申し込めば多くの人にチャンスがある奨学金です。貸与型の場合は返済しなければならないデメリットはあるものの、給付型と比べると獲得できる可能性は大きくなります。ただし、貸与型には利子ありのものと利子なしのものの2種類あり、利子がないものに関してはやはり応募者の間で競争が生まれます。そのため、利子なしのものに応募しても奨学金がもらえない恐れがあるので注意が必要です。利子なしの奨学金を得たいのなら、応募前からしっかりと勉学に励み、優秀な成績を残しておかなければなりません。
給付型と貸与型の大きな違いのひとつに、審査や応募の基準が挙げられます。給付型の場合、応募者のこれまでの経歴や留学後に行う予定の研究を評価し、奨学金を出すかどうかを審査することが多いです。そのため、誰でも応募することができ、経済的に裕福な家庭出身だったとしても本人が優秀であれば奨学金を獲得することが可能です。逆に、貸与型は世帯収入が応募基準に加えられます。貸与型では優秀であったとしても世帯年収が基準を超えていれば応募することができません。貸与型に応募できるのは世帯年収が基準を下回っており、かつこれまでの成績や返済能力などいくつかの条件を満たした人に限られます。
奨学金を獲得できるかどうかの境界線は、やはり成績が優秀かどうかが採用基準となることが多いです。これは給付型・貸与型ともに共通している特徴となります。奨学金の成否を決める成績とは、大学へ進学する場合には高校の成績が評価され、大学院へ進む場合は大学の成績が評価の対象とされます。奨学金の種類によって成績の基準は異なりますが、少しでもチャンスを広げるためにはできるだけ専門分野で好成績をあげることが大切です。
また、イギリス留学のための奨学金の多くは、高い語学レベルが求められます。例えば、JASSOの場合、スコアがTOEFUL iBTで100、あるいはIELTSで7.0で、経団連グローバル人材育成スカラーシップ奨学金では、TOEFUL iBTが61、あるいはIELTSが5.0です。この基準を下回ると採用されることはないため、留学予定日の何年も前から語学に対しては入念な準備をしていく必要があります。ただし、成績が優秀で留学に対してしっかりとした目標を持っているにもかかわらず、語学にはまだ自信がないという人もいるかもしれません。奨学金の中にはスコアに制限を設けていないものもあります。文部科学省によるトビタテ!留学JAPAN日本代表プログラムはその代表的な例です。
奨学金の種類はたくさんあるので、応募をあきらめず自分の状況にあったものを柔軟に選択していきましょう。
成績優秀者が選ばれるシステムも多い奨学金は、どのような種類のものでも対応できる学力を身に着けておくことが大切です。一方で、今まで良い成績は残せなかったものの、イギリスへ留学してやりたいことがあるというケースもあるかもしれません。教育ローンはほとんど成績は考慮されず、返済能力に重点が当てられるため、これまでの成績がふるわなかったとしてもお金を借りられることが多くなっています。
すでにイギリスへ留学している人の中にも、奨学金を得て生活を楽にしたいという人もいるでしょう。イギリス現地からでも応募可能な奨学金は存在します。イギリスから申請できる奨学金は案外多くあります。今までもらっていた奨学金が終わった場合やイギリスの大学で優秀な成績を収めた場合、留学中に家庭の経済状況が急に悪化した場合などに、現地から奨学金に応募することは珍しくありません。
また、留学期間は過ぎているけれどもう少しイギリスで勉強したいという際にも、現地から応募する奨学金を利用するのもひとつの手段です。
現地から応募できる奨学金は、大学や大学院で応募しているものや、優秀な人材に対して授与される政府奨学金および財団型の奨学金など多岐にわたります。しかし、中には応募条件が「現地の滞在が1年未満の人に限る」といった但し書きがつくものもあるので注意が必要です。こちらは民間の奨学金に多い傾向にあります。現地から日本の奨学金に応募する場合には、書類を郵送するのに時間がかかる点にも注意しましょう。締め切りを過ぎた書類は受理してもらえません。留学奨学金の多くは、現地の学校による受け入れ証明書や在学証明書の提出が求められることがほとんどです。大学に証明書の申請をしても即日発行されないことも多いので注意してください。現地から応募する際には時間に余裕を持ってプランを立てましょう。
イギリスの奨学金は早めの準備が必須です。毎年多くの日本人留学生がイギリスに渡っており、必然的に奨学金の倍率は高くなっています。日本からイギリスへ行く留学生の数は、2015年でおよそ3100人ほどです。イギリスは全体の4番目に人気の渡航先であるとOECDの調査で明らかにされています。また、イギリスの大学は高い教育水準を誇るため実力のある人が集まりやすい傾向があることも、倍率が高くなる原因のひとつと考えられます。そのため、イギリス留学で奨学金を獲得するためには、早めの応募と準備が重要なのです。
とりわけ語学の準備は留学予定の数年前から行っておいたほうが良いでしょう。スコアをそれほど重要視しない奨学金であったとしても、現地の言葉を扱える人材のほうを優先的に採用する可能性があります。そのほうが留学の成果が出やすくなるからです。奨学金を得た人材が活躍することで、奨学金を与えた側にメリットが発生します。とりわけ企業財団型は、自分たちの支援した人が活躍することを期待して奨学金を授与していると考えられます。奨学金を獲得するためには審査する側の考えを想像することも大切です。
もうひとつ早めに奨学金の準備をしておきたい理由があります。それは、審査には時間がかかるということです。例えば、トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラムの第9期の場合、申請書の提出期限が3月2日であるのに対し、最終的な採用通知は6月中旬ごろです。これはまだ審査が早い方で、奨学金によっては半年近く審査に時間がかかるものもあります。さらに、採用されたからといってすぐに奨学金が口座に振り込まれるわけではなく、受給開始は採用後1カ月以上時間がかかることも多いです。多くの奨学金は年に1回しか募集を行っていないため、時期を逃すと1年以上奨学金を得られる可能性が伸びてしまいます。
したがって、奨学金を申請する際にはこのような奨学金のシステムを頭に入れておき、早めに動き始めることが重要なのです。
イギリス留学はその他の国へ留学するよりも多くの資金が必要となるケースがあります。
しかし、お金がないからといって留学をあきらめる必要はなく、奨学金を活用すれば学費や生活費をまかなうことも可能です。奨学金には日本政府によるものやイギリス政府によるもの、民間、企業財団などさまざまな種類があります。それぞれの奨学金によって受給される期間や金額、条件などは多様なので、自分の留学計画と照らし合わせて最適なものから応募していきましょう。
奨学金は種類によって、一生履歴書に書けるステータスにもなるものもあります。奨学金を得ることで留学に対する責任感も増し、勉学へのモチベーションを上げる効果もあることでしょう。また、奨学金によっては奨学生同士で集まる機会を設けているものもあるので、新たな人間関係を広げるチャンスにもなります。奨学金はお金を貰えるシステムであるだけではなく、自分の可能性を広げられるものなのです。
奨学金は併願で申し込むことももちろん可能なので、たくさんの奨学金に応募してイギリス留学への道を広げてみてください。
歴史ある文化や伝統が色濃く残るイギリスは、古い伝統も守りながらも、 常に流行の発信地としてファッション・アート・音楽・考え方や技術などを生み出し世界中に発信している国としても有名です。 英語教育にも長い歴史をもち、語学学校の質や教育レベルも世界的に高いです。 イギリス留学では、英語発祥の地として、上品なクイーンズイングリッシュを学ぶことができることが魅力。 多国籍国家でもあるため、国際色豊かで留学生でも住みやすい雰囲気があります。 ヨーロッパ各国へ小旅行を楽しむこともできる、ヨーロッパの魅力たっぷりの国です。