初めての留学をする場合には、どのくらいの英語力が必要となるのでしょうか。ある程度の英語力がある人であれば、初めての留学でもそれほど不安に感じることは少ないかもしれません。けれど、英語力がまったくない、もしくは初級レベルの英語力しかもっていないという人であれば、留学に大きな不安を感じる人の方が多いでしょう。
そこで今回は、英語力がなくても留学ができるのかどうかについて解説していきます。留学にはさまざまな種類があります。自分の英語力や目的に合った留学を選べるようにするためにも、留学について詳しく知っておかなくてはなりません。英語力がなくても海外へ行ける留学にはどんな種類があるのか、反対に英語力が必要な留学にはどんなものがあるのか、それぞれ見ていきましょう。
CONTENTS
結論からいえば、英語力がなくても留学することは可能です。英語力がない状態で留学をして、期間中に英語力をアップさせて留学を成功させている人はたくさんいます。特に、語学留学ではその人のレベルに合わせたクラス分けが行われているため、英語力がなくても心配する必要はありません。
語学学校のクラス分けは、入学してから最初に行われるプレスメントテストによって行われます。このテストの点数によって、それぞれに合ったレベルが決められます。レベルは下から「Beginner(初心者)」、「Pre Elementary(準初級)」、「Elementary(初級)」、「Upper Elementary(上初級)」、「Pre Intermediate(準中級)、「Intermediate(中級)」。「Upper Intermediate(上中級)」、「Pre Advanced(準上級)」、「Advanced(上級)」となっています。英語力がない人であれば下のクラスとなりますが、クラス分けテストは定期的に行われるため、成績次第で上のクラスを目指すこともできます。ただし、英語ができないのに無理をして上のクラスを取るのは危険です。
無理をして高いレベルを目指すと、最悪の場合クラスを修了できない可能性があるからです。また、初心者レベルのクラスは小学生が通うクラスになるため、日本で中学・高校を卒業している人はどれだけ英語ができなくても初級レベルからスタートします。その点には、注意しておきましょう。
趣味をメインとした留学も英語力がない人に向いている留学になります。一般的に、お稽古留学や習い事留学、趣味留学などと呼ばれるもので、どれも語学にプラスしてさまざまなアクティビティを楽しめるものです。選べるアクティビティは国によってさまざまあります。ダンスや料理、フラワーアレンジメント、マッサージ、ダイビングなどが人気が高いアクティビティになります。
留学先を決めるときは、なるべく日本人観光客が多い国を選ぶのがベストです。日本人観光客が多い国だと日本語が通じることが多く不便に感じることは少ないからです。
一般的に、カナダとオーストラリアは日本人が多い国といわれています。どちらの国も留学制度が整っていて入国しやすく、気候や治安が安定していることで留学生と観光客に人気が高いです。
オーストラリアの場合は、日本人観光客をメインにしたお店や日本人コミュニティも多いため、地域によっては英語をほとんど使わなくても生活できる可能性が高いです。
小学生が留学する場合も、英語力は特に心配する必要はありません。子どもは吸収が早いので、海外生活をしていくうちに英語も分かるようになります。子どもの順応力は若ければ若いほど速いといわれているため、むしろ高校留学よりも英語力に関しては特別心配する必要はないのです。
小学生の留学では語学力よりも、海外生活に慣れるか、自分で考えて行動できるかといったことの方が大切になります。実際、小学校留学では、起床や着替え、時間通りに行動するなど自分で生活をすることと、自分の感情をしっかりと伝えられるかどうかが何よりも重要視されます。英語が分からない場合は、身振り手振りを加えてでも表現することが大切です。
小学生で長期留学できる国は、低学年ではスイスのみ、高学年ではスイス、アメリカ、カナダ、ニュージーランドのみです。低学年で留学をする場合は、いくつか注意点があることを頭に入れておく必要があります。それは、日本語習得に問題が起きる可能性があること、ホームシックになりやすいということの2点です。留学開始時期が早いと英語は上達するものの、日本語にふれる機会や家族とのふれあいが不足することが考えられます。この事態を避けるために、低学年での長期留学の際は冬休みと夏休みは日本に一時帰国させるのが一般的です。
また、長期留学をさせる前に、サマースクールを体験させるケースも多くあります。サマースクールは夏に開催される短期語学研修プログラムのことです。小学生留学にはほかにも、保護者同伴の親子留学、就学前にボーディングスクール(全寮制学校)に通えるボーディング留学など種類は豊富です。
小学生の留学は英語力に関しては心配いらないですが、さまざまな留学の種類のなかからより子どもに合った留学プランを選択することが重要となります。
高校の交換留学の目的は、現地の高校生と同じ生活をしながら、異文化体験・交流をすることが目的です。語学力アップを目的としていないので、特別高い英語力は必要ありません。英語をまったく話せない場合であっても、英語レベルに合ったクラス分けをしてくれる高校もあります。
ただし、最低でも英検3級程度(中学校卒業レベル)はあった方が良いです。現地の友達を作る、授業を理解するなど、交換留学の本来の目的である異文化交流・体験をするためには最低限の英語レベルは必要になってくるからです。まったく話せなければ授業も分からずクラスの人たちとの会話も楽しめずに、留学期間を終えてしまう可能性があります。英検3級程度の英語力があれば、最初の数カ月は苦労するかもしれませんが、徐々に慣れて会話の内容を理解できるようになるでしょう。そうなれば、クラスの輪にも難なく溶け込めますし、ホストファミリーとも緊張しないで接することができます。
交換留学は高校生だけができる特別な留学です。留学期間をより有意義にするためにも、英検3級程度の英語力を身につけておくようにしましょう。
インターンやワーキングホリデーで就労する場合は、英会話は最低限できた方が良いです。英語力がどのくらいあるかで、できる仕事、就ける仕事が変わってくるからです。
インターンは、アメリカやカナダ、オーストラリア、シンガポールなどさまざまな国で行われています。外資系企業で働きたいという人や、スキルアップをして転職に活かしたいという人など目的は人それぞれです。インターンシップに参加するためには、企業の募集内容によって定められた条件をクリアしていなければなりません。
主な条件は、学生か社会人か、学歴、職歴、英語力などです。インターンの種類によっては英語力が初級から参加可能にしているところもありますが、仕事によっては中級、上級レベルを求められる場合もあります。英語力の有無によっては、自分が希望する職種を選択できない可能性が考えられます。そのため、ある程度の英語力は身につけておいた方が良いでしょう。
なお、インターンではTOEICのスコアはほとんど意味を持ちません。もちろん、参加条件にTOEICのスコアを定めているところもありますが、実際にインターンシップに参加して必要となるのはあくまでもコミュニケーションスキルです。TOEICでは英語の基礎能力は反映できていても、英会話スキルを正確に判定することはできません。インターンでは、リスニング能力、スピーキング能力、フレーズ力(適切な言葉を選べる力)が必要となります。インターンに参加する前に、これらのスキルは最低限習得しておく必要があるでしょう。
ワーキングホリデーは、インターンよりも気軽に参加することができます。そのため、英語力はそれほど必要ないと考える人も多いかもしれませんが、インターン同様英会話レベルは必須です。ワーキングホリデーは時給に関わってくるため、英語力の有無が生活レベルに影響することが考えられるからです。ワーキングホリデー中に、より多く稼ぎたいという場合は英語力をアップさせることが大切です。
英語力が英検5級から準2級であれば、日本食レストランのスタッフやファームでの仕事に就くことができます。2級レベルですと、ツアーガイドや調理スタッフ、日系企業での一般事務、語学学校スタッフなど。準1級から1級レベルですと、地元レストランのスタッフ、地元企業での一般事務やアシスタント、旅行会社スタッフといった仕事があります。日本食レストランなどは時給がその国の最低賃金である場合が多く、店舗によっては最低賃金を下回っていることもあるため多く稼ぐことは難しいでしょう。英語力が高ければ高いほど選べる職種が増え、時給の高い仕事に就くことができます。
専門分野を学ぶ場合は、英語が分からなければ授業についていくことができません。そのため、高い英語力が必要不可欠です。一般英語はひと通りでき、なおかつ英語の授業が理解できるくらいの英語力は必要になります。
そもそも、専門留学をする場合は、学校が定めた基準に英語力が達していなければ入学することができません。一般的に、TOEICスコアが450以上(TOEFL iBTでは41)必要になるケースがほとんどです。求められるスコアが出せなければ入学できない可能性もあるため注意しましょう。
また、専門留学は職業訓練に特化したコースに入学して専門知識やスキルを学ぶ場です。語学学校の授業とはまったく別もので、専門用語が多く使用されます。一般的な英会話レベルのみでは授業についていくことができないため、基礎的な専門用語は留学前にしっかりと勉強しておくことが大切です。専門留学では、ビジネス、IT、デザイン、ホスピタリティなど転職や就職に活かせる分野を集中的に学ぶことができます。きちんと修了できれば国家資格も取ることも可能です。将来の可能性を広げるためにも、専門留学する場合はあらかじめ英語力を鍛えておきましょう。
どの留学をするにしても、英語力はあって困るものではありません。時間と費用に余裕がある場合は、最初に語学学校へ入って英語力を上げておくと良いです。
語学学校へ通う場合、最初の5カ月までは英語の勉強法を覚えることが中心で、5~8カ月で基礎英語力が身につくのが一般的です。8~11カ月で英会話レベル、11~13カ月で大学進学を視野に入れた英語力が習得できます。それ以上通えば、入学基準が厳しい大学院などに進める可能性が高まります。さらに、2年通えば通訳や翻訳の道が開けるほどの英語力が身につく可能性もあります。留学を希望するのであれば、英語の勉強をしておいて損ということはないのです。
なお、大学進学するという場合は一定レベルの英語力がないと入学することができません。そのため、先に語学学校へ入学するケースがほとんどです。語学学校は、主に大学付属英語学校と私立英語学校の2種類から選ぶことができます。大学付属英語学校は大学入学を目指す留学生のために設立された学校で、大学入学はもちろんのこと大学教育を学ぶ英語力も身につけられます。大学キャンパス内にあるため、図書館やスポーツジムといった大学施設を利用することも可能です。私立英語学校は民間の会社が運営する学校です。
さまざまなコースが設けられていて、自分に合ったカリキュラムを受講できるのが特徴です。進学先の大学がすでに決まっている場合は、スムーズに進学できるように大学付属英語学校を選びましょう。まだ、希望の大学が決まっていないという人は、選択肢の幅を広げられるように私立英語学校の受講が適切です。
留学の目的によって、英語力がなくても良い場合とないと困る場合があります。専門留学やインターン、ワーキングホリデー、大学進学などはある程度の英語力、もしくは高い英語力が求められます。趣味留学や日本人が多い国で海外生活を体験してみたいというのであれば、それほど高い英語力は必要ありません。
留学期間中をより充実したものにするためにも、自分に合った留学を選ぶようにしましょう。留学では英語力はないに越したことはないため、時間とお金に余裕がある人は語学学校へ通うことも考えてみてください。