留学先として人気のあるカナダですが、カナダも外国です。何も知らずに行くと風土や生活様式の違いに戸惑ってしまいかねません。
カナダへの大学留学をより充実したものにするためにも、カナダ留学のメリットや大学ごとの違い、他国への留学と比べたときの費用の詳細などを詳しく紹介します。
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カナダは、海外諸国の中でも比較的治安が良く、日本人が多く訪れる人気の国です。中でも、イギリス英語に近い英語が公用語として使用されている点で、なまりが少なく正しい綺麗な英語を学べる地域としても語学留学に最適な国です。
また、カナダは治安もよく、多くの日本人が留学先として選ぶ人気のある国です。しかも初めての留学先として選ぶ人が多い国でもあります。夏休みなどを利用した1ヶ月~2ヶ月程度の短期の語学留学から6ヶ月~1年の留学など、大学入学前の高校生から大学生、社会人など、留学生も様々です。
カナダの大学の種類や大学に入学するための条件など、大学留学を検討するにあたって絶対に理解しておくべきことをまとめました。
カナダの大学は大きく次の3つに区分されています。
特徴 | |
University |
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College |
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University College |
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それぞれについてもう少し詳しく解説します。
日本でいう「総合大学」のことを指しますが、カナダでは、規模の大きい大学をUniversityと呼んでいます。規模が大きいので1クラス当たりの学生数も多く学部数も多いのが特徴です。
一般的に学費もCollegeにくらべ高めです。
日本でいう「単科大学」のことを指します。一般的に学部数が少なく学生数も少ないです。2年制が主で、2年の間に取得できる「職業訓練コース」や「University 編入コース」があります。
また、4年通学して卒業時に学士の学位を取得できる大学もあります。
ただし、日本でいう大学院は設置していないため、修士・博士の学位は取得できません。
UniversityとCollegeの両方の特性を持ち合わせた大学です。
1つの大学内に一般的なUniversityのように4年通って学士を取得できる4年制と、1~2年通った後にUniversityに編入できるコースがあり、いずれかを自由に選べるようになっています。
カナダの大学には、いわゆる日本でいう入学試験はありません。書類選考や最終学歴の卒業証明書や成績証明書を提出するだけで入学できます。ただし、語学留学といっても大学で勉強することに変わりはないため、一定の英語力が必要です。カナダの大学には英語力を申告する必要がある大学もありますので、その場合は日本でTOEFLやIELTSなどの検定試験を受験して、そのスコアを申告する場合もあります。
ちなみに、大学で必要とされる英語力の目安は、TOEFLで80点以上、IELTSで6.0以上です。
カナダの教育システムは各州がそれぞれに管轄していますので、システムやカリキュラムなどに違いがあります。
たとえば、日本では大学を卒業するために2~4年通う必要がありますが、カナダの場合は大学によって4年制でも3年で卒業できる大学もあれば、反対に2年制からの編入ができない大学もあります。また、カナダの大学は年度制ではなく単位取得制なので、早く必要科目の単位を取得するとそれだけ早く卒業できるシステムになっています。
カナダの大学に留学する場合の費用は、平均して6ヶ月で92~142万円、1年で180~267万円かかります。この中には、入学金や授業料など大学に直接かかる費用の他、滞在費や諸手続き費用。空港の送迎費用なども含まれています。
他にも、ホームステイと学生専用の寮に入るなど、留学中の滞在先により費用に違いが出てきます。
一般的に留学は国内の大学に通うよりも高くなりますが、カナダの大学は他の海外諸国よりもリーズナブルです。
費用を安く抑えるためには大学よりも安いカレッジに通って、そこで1~2年かけて必須科目を取得してから大学に編入するという方法もあります。
海外の大学は1年を3つの学期に分けています。多くの学部は9月が入学時期になりますが、学部や学科により入学時期が違うこともあります。そのため授業修了はまちまちになりますが、6月にまとめて卒業式を行います。
留学の場合学年で分けるのではなく、全員同じカリキュラムで受講することになります。そして、学部ごとに必要な単位が取得できれば卒業という流れになります。
カナダの大学の魅力はどういった点でしょうか。初めて留学する人にとってのメリットを解説します。
日本の大学の場合、入学の時点で学びたい学部や科目を決めると特別な理由がない限り、簡単に学部を変更することはできません。しかし、カナダの大学は比較的簡単に学部変更ができます。
卒業後日本で就職するのであれば、仕事に関係した学部や学科を選んでカリキュラムを組むことも自由です。
高校卒業後に留学をして、卒業後に日本の大学に編入することもできます。海外の大学から日本の大学への編入は比較的条件も緩く、うまく活用すれば希望の大学に入りやすくなることもあります。
なかでも、University Collegeは編入のための手続きが簡単なので、日本の大学へ編入を希望している学生の多くはUniversity Collegeに留学しています。
海外でもいろいろな国がある中で、あえてカナダの大学を選ぶ大きな理由に、欧米諸国の中でもカナダは授業料が安く抑えられているのに加え物価も安いので、留学生にとって比較的通いやすい点があげられます。
ちなみに、カナダとアメリカの大学の留学費用を表にしてみました(スマ留調べ)。
授業料(平均相場) | その他費用(平均相場) | |
カナダの大学 | 6ヶ月:48万~72万円 1年間:73万~100万円 |
6ヶ月:24万~48万円 1年間:72万~96万円 |
アメリカの大学 | 6ヶ月:30万~120万円 1年間:60万~240万円 |
6ヶ月:70万~140万円 1年間:130万~260万円 |
なお、より安く抑えるならば次のような留学生対象の奨学金制度やサイトを大いに活用しましょう。
奨学金名称 | 特徴 |
高円宮クイーンズ大学留学奨学金 | クイーンズ大学に留学を希望する人に年間25,000ドル(日本円で約190万円)支給 |
IELTS北米奨学金制度 | カナダの大学に留学を希望する人の中で英語力などの条件をクリアした人の中から3名に6,000ドル(日本円で約60万円)を支給 |
日本学生支援機構(JASSO) | 学生対象の奨学金専用webサイト |
この他にも、各地方自治体や民間団体の奨学金制度や、カナダの大学ごとに奨学金制度も設けている場合があります。
詳しいことは日本学生支援機構(JASSO)webサイトで確認してください。
日本学生支援機構(JASSO)Webサイト
留学のメリットは言語を学ぶだけではありません。その国の風土や環境を直に身につけることができるのも大きなメリットです。日本にはない習慣や価値観などは実際ににその国に行ってみないと分からないものです。実際に生活をすることで、その国の文化や生活習慣も身につけることができ、英語力と同時に国際的なコミュニケーション能力を鍛えられます。
また、カナダのように留学生が多い場所では大学にも日本以外の様々な国から留学生が来ている傾向があります。他国の生徒と触れ合う機会も増え、日本人とカナダ人だけでなく、世界からくるたくさんの人や文化と触れ合う機会が多くなります。
カナダへの留学経験者の多くは、自分の視野が広がる貴重な経験ができたと感じています。
留学の場合は「学生ビザ」が必要です。大学卒業後に最長3年間の就労ビザを取得できますので、そのままカナダに残って働きながら大学生活を続けることもできます。
さらに、条件を満たせば永住権も取得できます。
また、大学で言語だけではなく、より専門的な分野を身につけたいと思った場合、そのまま大学で勉強を続け、卒業後も専門家として資格が得られるCanadian Experience Classという制度も設けられています。
カナダ国内には約90の大学があります。このほとんどの大学が州立の公立大学で、各州が運営しています。いずれの大学も地域に密着しており、地元の産業と共同研究などを積極的に行っています。
なかでも、初めて留学する日本人におすすめの大学を5大学紹介します。
大学名 | 所在地 | 学部数 | 学生数 |
トロント大学 | トロント | 17学部、400コース | 69,000人 |
マギル大学 | ケベック州モントリオール | 340コース | 34,000人 |
アルバータ大学 | アルバータ州エドモントン | 200コース | およそ40,000人 |
ブリティッシュコロンビア大学 | バンクーバー | 38学部、340コース | 57,000人 |
クイーンズ大学 | キングストン | 30学部、80コース | 23,000人 |
次に、それぞれの大学についてもう少し詳しく説明します。
トロント大学は、創立1850年のカナダの大学のなかでも古く伝統のある大学で、世界の有名大学ランキングでも上位に入る有名な大学です。30の学部と400以上の専攻分野がある大規模な大学であり、日本だけではなく世界中から多くの留学生が集まる大学としても有名です。
現在までに10名以上のノーベル賞受賞者や女性宇宙飛行士を輩出するなど、文系、理系問わず多くの優秀な人材が活躍しています。また、東アジア研究にも特化しており、東洋学部を設置したり、東京大学や京都大学などの日本の大学とも交流があり、日本語を専攻する学生が多いのも大きな特徴です。
マギル大学は多くの分野がある大学として知られている総合大学です。フランス語圏であるモントリオールに校舎がありますが、授業や大学内の公用語を英語にするなど徹底的な英語教育を行っています。
アート関連や科学、エンジニア向けの分野など300もの専攻分野を開講しています。中でも医学部は世界トップレベルの研究機関を設けており世界中の医学分野の専門家が集まっています。また、MBAではマギル大学で単位を取得した後、日本の大学院へ編入できるなどといった提携を結んでいます。
アルバータ大学は、語学に力を入れている大学として、語学留学生に人気のある大学です。初心者から上級者まで様々なレベルに合わせた語学コースが設けられています。
また、1クラス当たりの学生数も40名程度と少人数クラスで徹底した教育を行っています。もちろん、大学には医学や科学、経済分野などの学部も多く、いずれもレベルが高く定評があります。
キャンパス内の施設は充実しており、駅やバスターミナル、売店やレストラン、ライブハウスなどもあり、キャンパス内で不自由なく生活できる整った環境も魅力です。
ブリティッシュコロンビア大学は、マギル大学の分校として1908年に創立した大学です。次世代エネルギーやマルチメディア、自然科学、ビジネス、医学、法学、人類学などで国内外で高い評価を受けており、優秀な人材を幅広く輩出しています。
ちなみに、ノーベル経済学賞を受賞したロバート・マンデル博士や物理学賞受賞者のバートラム・ブロックハウス博士、現トルドー首相も卒業生です。また、キャンパス内には、歴史的建造物も多くあり、バンクーバーの観光地としても有名な場所です。
クイーンズ大学は、1841年に創立されたカナダ最古の大学で、カナダの中でもトップ10に入るほどの優秀な人材を養成している大学として有名です。カナダ国内でも最も難関な大学として有名ですが、留学制度に積極的に力を入れており、世界中120ヵ国以上から留学生が集まる国際色豊かな大学です。
学問だけではなく学生同士の交流活動も盛んで、大学内には200以上のサークルがあり、他の大学との交流も積極的に行っています。
カナダの大学に留学するためにはどのような点に注意することが必要でしょうか。ここで、留学する際に大切なポイントについて説明します。
日本の大学は入るまでが大変ですが、海外の大学の多くは入試試験がない代わり入学してからの課題や単位取得が難しいのが一般的です。そのため、高い志がないままになんとなく留学してしまうと、大学の講義についていけなくなり途中で挫折してしまう可能性も大いにあり得ます。
何のために留学をするのか、留学をして何を学びたいのかをを明確にしてから大学を選びましょう。
初めて留学する人には、どの大学が向いているのか分かりません。かといって知名度だけで大学を選ぶと、興味のない学部を選ぶどころか、大学の講義についていけなくなってしまうかもしれません。
自分に合った留学先を選んだり手続きの負担を軽減させるために、留学専門のエージェントを活用するのがおすすめです。エージェントでは、留学を希望する人の目的や予算、日数などを細かく聞いた上で、その人に合った大学をアドバイスしてくれます。
また、留学前の様々な手続きを一緒に進めてくれるエージェントや、留学後にもなにかあった際に連絡できる窓口があるエージェントなど、エージェントにも様々な特色があります。いくつかのエージェントを見比べて、自分がより安心できるパートナーを探しましょう。
カナダ留学は、語学が上達するだけではなく、外国の生活習慣も身につけることができ、場合によっては海外での就職も可能になります。他の留学先と比べてもカナダは治安も良く、物価も比較的安いので、留学先としておすすめの国です。
ただし、どこの国に留学しても漠然とした気持ちで留学をすると、時間とお金が無駄になってしまいます。
人生に一度行けるかどうかの貴重な体験ですので、行く前には自分の目的を明確にしてしっかりと準備を整えて留学をしましょう。
今回は、カナダでの大学留学や、おすすめの大学について紹介しました。
海外の大学への編入やメリットなどについてはこちらの記事でまとめていますので、海外への進学を考えている方は、ぜひこちらも合わせてご覧ください。
世界2番目の国土を誇る広大な大地と雄大な自然が特徴のカナダは、都市ごとに雰囲気や気候が異なり、 冬にウィンタースポーツが楽しめる都市があるなど四季折々の魅力が溢れています。 多民族国家で移民が多く協調性を大切にする温かい国民性から、異文化の様々なバックグラウンドを持つ人々が仲良く暮らす国としても有名。 留学生が受け入れられやすい環境や雰囲気があり、訛りの少ないニュートラルな英語を話すため、 英語初心者も安心して留学することができます。