フィリピンにあるセブ島は英語を学ぶ留学先としておすすめの地です。なぜなら 「安い」、「近い」、「マンツーマン授業が多い」と、大きなメリットがあるためです。一方で欧米(先進国)にはないデメリットももちろんあります。
この記事を読んでくださっているあなたも、
「フィリピンで学べる英語って、訛ってるんじゃない?」という心配や、
「滞在施設がボロボロだったら嫌だな…」
「食べものは口に合うんだろうか…」
という、新興国ならではの心配もあるでしょう。留学は基本的に長期滞在ですから、不安になるのも自然なことです。
この記事では フィリピン・セブ島留学のデメリットを学校・授業の面と生活環境の面に分けて7つ紹介します。
デメリットをあらかじめお知らせして、留学先の候補として間違っていないか、事前の心構えや準備までお伝えしますので、ぜひお役立てくださいね。
ご注意いただきたいこと
本記事で紹介するデメリットは フィリピン内のすべての留学先に当てはまるわけではありません。フィリピンといってもセブ島とセブ島以外のエリアでは環境が違います。またセブ島内でも日系の語学学校と韓国系の語学学校は雰囲気が異なります。本記事で紹介するデメリットはあくまで目安として認識していただけると幸いです。
CONTENTS
まずは学校・授業に関するデメリットを3つ紹介します。
・フィリピン人講師はネイティブスピーカーではない
・日本人留学生が多い
・学校によっては自由時間の確保が難しい
どれも欧米留学ではないからこそのデメリットといえます。
1. フィリピン人講師はネイティブスピーカーではない
英語を学ぶにあたって気になるのは、講師の発音ではないでしょうか。フィリピン人は英語のネイティブスピーカーとはいえません。 フィリピンでは英語が公用語として使われていますが、ローカル言語も日常的に使われているためです。
フィリピン人が話す英語には次の3つの特徴があります。
・母音のアクセントが強め
・スピードが遅め
・スラングは少なめ
フィリピン人が話す英語は欧米ネイティブが話す英語より、母音のアクセントが強いといえます。フィリピンのローカル言語では母音を強めに発音するためです。 欧米のネイティブアクセントを学びたい方には不向きかもしれません。
しかし母音が強い発音は、実は日本人にとって聞き取りやすい(※)といわれています。英会話の初心者にとっては逆に、わかりやすいと評判です。気になる方は一度オンライン英会話の無料体験やYouTubeを使ってたしかめてみると良いでしょう。
フィリピン人は英語を話す際にあまりリダクションをしない傾向があり、欧米ネイティブが話す英語にくらべてゆっくりに聞こえます。
リダクション…音の省略や弱化
例:Good Job→グッジョブ(“ド”を省略)、little→リル(“ト”を省略)など
海外ドラマで話されるようなリダクションの多い英語を聞きたい・話したいならフィリピン留学は向かない可能性があります。
とはいえ、もしあなたが英会話の初心者ならリダクションの多い英語を聞き取るのはとても大変でしょう。聞き取れなければ話の内容を理解できません。先生の話を聞き取れなければ、勉強もつらくなりますよね。
リダクションが少なく単語どうしのつなぎ目がわかりやすいフィリピン人の英語は、日本人にとっては聞き取りやすく、英語への慣れが早まって学習を続ける手助けとなります。
前提として、 フィリピンに限らず欧米に留学しても、学校で学ぶのはフォーマルな英語です。ただし学校の外に出れば話は別です。欧米では、たとえば現地でできた友だちやカフェで隣りに座った人たち、ホームステイ先のご家族などからスラングを耳にする機会があるでしょう。
一方フィリピンでは英語は母国語ではありません。フランクな会話はローカル言語で交わされており、英語でスラングを話す機会は少ないといえます。
ただし、少し考えてみてください。あなたが英会話を身につける目的はなんでしょう?
もしビジネス英語を習得したいなら、スラングまで学ぶ必要はあるでしょうか?英検2級程度の英会話でも、自由に使いこなすには相当な時間がかかります。スラングを覚える余裕があるかどうか、使う機会があるかどうか、よく考えましょう。
フィリピンでもとくにセブ島にある日系の語学学校は、日本人留学生が多い傾向があります。また日本の大学の夏休みや春休み期間も、日本人留学生が多くなります。
日本人どうしの心強さとコミュニケーションの取りやすさから、どうしても日本人とばかり話しがちですが、そのぶん英語を話す機会が減ってしまいますよね。
日本人以外の留学生と積極的にコミュニケーションを取る、グループレッスンでも積極的に発言するなど、心がけ次第で対処できます。寮で相部屋を選べば、ルームメイトと英語で話す機会をつくれますよ。
なおフィリピン留学では 日本以外にも韓国や中国、台湾、ベトナムなどアジア人留学生が8割以上です。講師もほとんどがフィリピン人のため、どうしても欧米人ばかりの環境に身を置きたいのであれば、やはり欧米留学がベストです。
語学学校のなかでも 韓国系のスパルタ校を選んだ際に起きやすいといえます。スパルタ校ではとにかく勉強量が多く、人によっては自由時間を確保できないかもしれません。
スパルタ校で寮生活を送る場合、たとえば朝食前には単語テストがあり、毎日8~10コマの授業を受けます。多くの授業で宿題が出るため、放課後や休日の自習を要します。
校則で門限が定められている学校も多く、もし放課後に外出するとしても注意が必要です。 単語テストの結果によっては、週末の外出さえ禁止とする学校もあります。
裏返せば、それだけみっちりと英語を学べる点はスパルタ校の長所です。門限はありますが外出は許可されているため、散歩やカフェで勉強するなど工夫すればリフレッシュもできます。
また放課後にはズンバ(ダンス系のエクササイズ)や季節のイベントを催す学校もあり、校内のアクティビティでも良い気分転換ができるでしょう。
そもそもホテル滞在型の留学なら門限はありませんし、ノンスパルタ校なら校則が緩めです。学校や受講するコースを慎重に選びましょう。
生活環境においては、新興国ならではのデメリットが多く並びます。
・宿泊先の選択肢が少ない
・宿泊施設の設備は先進国に劣る
・暑さが原因で体調を崩す可能性がある
・日本ほど「きれい」な環境ではない
日本(先進国)ではあたり前の設備・環境がフィリピンではととのっていない、不十分と感じるケースがあるでしょう。ひとつずつ解説します。
フィリピン・セブ島留学での宿泊先は基本的に 学校敷地内の寮もしくは学校指定のホテル・コンドミニアム[・underline_marker]です。ホームステイはありません。欧米留学では費用を少しでも安くするためにホームステイで滞在しますが、フィリピンはそもそも宿泊費が安いからです。
ホームステイの醍醐味であるホストファミリーとの交流はフィリピン留学では味わえませんが、寮生活でも相部屋を選べば留学生どうし英語でコミュニケーションができます。
学生寮の特徴
家具はデスクとベッド程度のシンプルな部屋が一般的です。
相部屋の場合は室内にトイレとシャワーがあり、個室だと室内にある場合、フロア共用の場合に分かれます。
ホテル・コンドミニアムの特徴
相部屋に抵抗がある、トイレやシャワーを共用するのに抵抗がある方はホテル・コンドミニアム滞在型がおすすめです。
グレードとしてはだいたい3つ星クラス、日本は東横インといったビジネスホテル程度のイメージです。
どうしても宿泊先を自分で決めたければ、「通学プラン」を取り扱う学校も一部あります。しかし フィリピン留学ではもともと学費に宿泊費が含まれており、通学プランにしても留学費が安くはならない点は留意しましょう。
フィリピン留学では朝昼晩の3食または、朝晩の2食を学食や宿泊施設で提供してくれます。以前はまずいという声もよく聞かれましたが、 近年ホテルのシェフを招くなどして改善され、味や栄養バランスを考慮した食事をいただけます。
味の好みや好き嫌いは人それぞれですが、じゅうぶんおいしく食べられるレベルです。
提供方法はビュッフェ形式の学校もあれば、いわゆる定食形式の学校もあります。定食形式の場合はごはん・みそ汁・メインのおかず+αがプレートに盛られて提供されます。
学食がどうしても口に合わない場合は、自炊の手段がないため外食するしかありません。フィリピン料理と聞いて、具体的になにかイメージできますか?
フィリピン料理は意外にも醤油ベースの味つけが多く、日本人がなじみやすいといえます。しかし日本ほど繊細な味つけではなく、油っこい食事も少なくありません。
食事面が不安な方は、日系の語学学校を選ぶ、インスタントのごはんやみそ汁、ふりかけ、お茶漬のもとを持っていくなどするとストレスを軽減できます。
設備のなかでも、とくにインターネット環境と水圧(シャワー・トイレ)を不便に感じる方が多いでしょう。
どの学校・宿泊施設でもWi-Fiがつながりますが、 速さはまちまちです。放課後や休憩時間など、多くの学生がWi-Fiを利用する時間帯にはどうしても重たくなります。動画どころか一般的なWebページでさえなかなか表示されないかもしれません。
100名以上のマンモス校では、Wi-Fiが遅い可能性がじゅうぶんにあると念頭に入れておきましょう。ただし同時に利用する人が少ない時間帯や、ホテル滞在の場合は比較的サクサクつながります。
またスコールや雷などの悪天候によって、Wi-Fiが落ちることも。だいたいは数秒〜数分で復旧しますが、場合によっては数時間ほど使えないケースも見受けられます。
スマホを辞書代わりに使う留学生も多く、Wi-Fiは意外と大きなストレス源になりかねません。SIMフリースマホやポケットWi-Fiで対応しましょう。
Wi-Fiと並んで不便に感じるのが、シャワーやトイレの水圧です。シャワーに関してはWi-Fi同様、 多くの人が利用する夜の時間帯には非常に弱くなります。
お湯が出ない、水しか出ないといったレベルではなく、髪や体を洗うには少なすぎるちょろちょろとした水量にもなります。ホテル滞在でも水圧は日本に劣るでしょう。
生活リズムを少しずらして、早朝や放課後すぐの夕方早い時間に浴びるといった工夫が必要です。
トイレでは、 トイレットペーパーは流せません。また連続での流水もできません。日本でのクセでついついトイレットペーパーを流しそうになりますが、高確率で詰まりますので注意してください。トイレットペーパーは備え付けのゴミ箱に捨てましょう。
もし誤って紙を流し、詰まらせてしまった場合は学校のスタッフやホテルのフロントに伝えましょう。
フィリピンは年中25℃~33℃程度と暑いため、夏バテ・風邪にかかりやすく、日本にはない病気もあります。風邪にかかりやすい理由はエアコンによる冷えです。 暑い地域だからこそ学校やショッピングモール、飲食店などどこに行ってもエアコンがガンガンに効いています。
夏バテが心配な方はモバイル扇風機や通気性の良い服を持っていくと軽減できるでしょう。また冷え性の方は長袖を持っていくと安心です。1日のほとんどを学校内か寮(ホテル)で過ごすため、風邪対策のほうが重要かもしれません。
暖かさゆえに日本ではかかりづらい病気のリスクが高まります。 もっとも多いのが食中毒です。屋台や屋外での食事はとくに注意してください。
ほかには蚊を介してかかるデング熱があげられます。デング熱は日本でいうインフルエンザのような病気で、適切な処置を施せばしっかり回復します。
ただしデング熱にはかからなかったとしても、フィリピンはそもそも虫(ハエや蚊など)が日本より多い環境です。虫が苦手な方にはつらい滞在先かもしれません。
どんな症状であれ、もし体調が悪くなったときは学校に駐在する日本人スタッフに相談し、日本人スタッフがいる病院を紹介してもらいましょう。
フィリピンは衛生面と、道路・街並みの2つの面で日本ほど「きれい」ではありません。
水道水が飲めないのはご存じの方も多いでしょう。見落としがちなのは氷です。フィリピンは暑いのでつい冷たい飲みものを欲しますが、水なら必ずミネラルウォーターを飲んでくださいね。校内や寮・ホテルにウォーターサーバーが設置されているため、水筒・タンブラーを持っていくと便利です。
外食する場合、屋台やローカルレストランではお腹を壊す可能性があります。不安な方は高級レストランはもちろん安心ですし、ショッピングモール内のレストランレベルの飲食店を選びましょう。
セブ島については、島内の中心部なら道路が舗装されていますが、郊外に行くほど舗装されていないエリアも増えます。交通量が多く、つねに砂ぼこりが舞っているような状態です。
粘膜が弱い方はマスクを着用し、徒歩での移動を避けましょう。Grabタクシー(Uberと同じシステムの配車アプリ)ならぼったくられるリスクも低く、外国人でも安心して利用できます。
街並みや景観も欧米のような美しさではありません。またショッピングモールやスーパーなど人通りの多い場所ではストリートチルドレンに遭遇するかもしれません。心を痛める場面ですが、日本や先進国との違いを目の当たりにし、社会勉強のきっかけとなります。
世界最大の投稿型ユーザーベースNumbeoで安全指数をくらべてみると、セブ島は日本(東京)より治安が悪いと判断できます。セブ島の治安は英国・ロンドンや米国・NYと同程度であり、日本には劣るけれどそれほど悪くないといえそうです。
どの国・どの都市にも治安の悪いエリアはあります。
日本に住んでいても夜道や人通りの少ない道は気をつけて歩くように、警戒心はどこに行っても必要です。治安の悪いエリアや夜のひとり歩きは避ける、財布はポケットではなくかばんに入れて持ち歩くなど、海外旅行でも基本とされることを守っていればリスクを軽減できます。
留学の場合は校内に警備員が駐在しているため、比較的安心して生活できるでしょう。
この記事ではフィリピン・セブ島留学のデメリットを7つ紹介しました。英語を学ぶ多くの方が気になるのは、フィリピン人が英語ネイティブではない点でしょう。
しかしフィリピン人の英語は日本人の英会話初心者にとっては聞き取りやすく、英語に早く慣れられる可能性があります。
ネイティブの発音に触れられない点はデメリットでもありますが、授業はもちろん英語で進むため、先生の話を理解し、授業についていけることも大切ではないでしょうか。
環境面でも先進国に劣る点が多くありますが、そのぶん安さは魅力的です。 セブ島に留学した筆者は「想像していたよりも不便しなかったし、きれいで快適だった。食事もおいしかった」と感じます。
冒頭でもお伝えしたとおり、学校や宿泊施設によってもかなり差があります。
情報をきちんと手に入れて学校や宿泊先、留学時期、持ちものなどを考慮すれば、デメリットも軽減できるでしょう。なにより、どんなデメリットがあるのか事前に知っておくだけで、実際に直面したときの精神的な負担が少なくなります。
密度濃く英語を学べるフィリピン・セブ島は語学先として非常に魅力的な土地です。ぜひ前向きに検討してみてくださいね。
大小7100以上の島々からなる東南アジアの島国フィリピンは、島ごとにも特徴が異なります。 国全体に美しいビーチリゾートが散在しており、高級リゾートから自然の美しさを生かしたトロピカルな雰囲気漂うリゾートまで様々。 フィリピンは熱帯性気候のため、1年を通して暖かく、マリンスポーツなどリゾート気分を味わえるのも魅力の一つ。 日本からも4時間の距離にありながら世界第3位の英語使用国のため、フィリピン留学では比較的気軽にリーズナブルに語学を学ぶことができます。